ヨコズキゲーム’

ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

「ポータル2」

 撃った場所に入り口と出口を作る「ポータルガン」を使って、謎の「テスト」と施設から脱出するゲームの2作目。

 前作は、気になりつつも体験版だけのプレイで「すべて把握した」と言わんばかりに未プレイだった。ところがはたと気付けば8月にプレイするゲームが全くなく、困った挙げ句に購入(余暇の全てをゲームか小説に使っている自分にとっては十分な理由)。理由が理由だったので、8月中時間をかけてゆっくりプレイする予定だったのだけど、想定を上回る面白さのせいで、結局瞬く間にクリアしてしまった。
 非常に面白かったので、調子に乗ってブログを開設してまで、ポータルの感想を書こうと思う。ついでなので、プレイしたゲームの感想とかたらたら書く。
 ちなみに、COOP(協力)モードはまだプレイしておらんのであり、あくまでシングルプレイの感想のみになる。早くCOOPもやりてえ。


 さて、ポータル2の操作はFPS(ファーストパーソンシューティング)とほぼ同じものだ。知らない人に説明する時のいつもの言い方で言うと「64の007ゴールデンアイと同じやつ」。
 プレイヤーに与えられた唯一のアイテムは「ポータルガン」。攻撃力は微塵もない代わりに、撃った場所に穴を開けることが出来る。穴は2点にしか開けられないが、その2点を繋ぐことが出来る。これにより、高くて登れない高所や、通れない狭い場所の向こう側へ通り抜けたり、あるいは物体やレーザーなども貫通させることが出来る。
 操作はFPSと同じながら、FPSによくある、銃で狙ってドンパンドガーン!な要素は、このゲームには一切ない。全編が殺傷能力皆無のポータルガンを使ったパズルで構成されており、アクション要素や、時限要素は一部例外を除いてほとんど出てこない。あってもタイミングが難しいとかそういう感じではなく、パズルアクションというより、パズルアドベンチャーに近いプレイ感覚。

 これ以上のシステム詳細については

PORTAL

PORTALとは編集

でも見て下さい。

 このゲーム、他のゲームでは余り要求される事がない(これはシステムや、単純な制作上の難しさせいだとは思うが)、3次元把握に関わる頭の使い方が解法を探すコツになっている。ただ、チュートリアルや難易度の上がり方が絶妙で、段階的にテクニックを習得し、実践していけるようになっている。そのため、常に程よい難易度で謎解きを楽しむことが出来た。一部、何分もかけて延々と部屋をウロウロ、ポータル手当たり次第開けまくりなやり方をするほど詰まった箇所もあるが、わかってしまえば「おお!そんなとこかテメエやるなぁおい!」とガッツポーズが出る案配で、「こんなもん解るかヴォケが!!(ペッ!)」と理不尽さを感じる場面は全くなかった。海外の制作はレベルデザインにほんと気を使ってるなぁ、と再確認した次第。

 で、このゲームの白眉はどこらへんかと言うと、もう完全に演出。あとそれに付随する物語。
 ところで(如何にも「こっからがこの記事のメインですよ」って書き方をしても簡単に話は逸れます)正直、演出と物語は不可分なものだと思うので、いかにも分けて書くのはちょっと違和感があるのだが、便宜上分けて書いた方が話を整理しやすいとも思うので、難しいな、といつも感じる。特によく出来たゲームの場合、システムとレベルデザインと物語と演出の全てがかみ合っていて、それぞれがそれぞれの形の理由になっていたりするので、一個だけ取り出して話をしても必ず何か手落ちが出るし、かと言って全部ごちゃごちゃに書くともう話の流れも何もなくって読みづらくなる。そこは完全に自分の筆力の問題なんだけどまぁそんな事はどうでもいい。
 話を戻すと、とにかくこのゲームは、演出の出来がよかったんですよ。それはもうブログを始めるくらいに。

 書き出すとほぼ全編ゲーム内容を書いてしまいかねないし、それはそのままみんなが大好きな「ネタバレ」を当然含む感じになるので、絞って書くと、例えば、ゲーム開始直後からかなり良い。

 ゲームがスタートすると主人公はホテルの一室のような部屋にいる。壁には南国の風景が描かれ、インテリアは上品な感じ。だが、どこからともなく流れる録音自動メッセージは「あなたがコールドスリープ状態になっていた期間は50日間です」と不穏でSFな事を言い出す。さらに、この自動メッセージはチュートリアルを兼ね、天井を見ろだの、床を見ろだのとプレイヤーに指示を出して来るが、ものの数秒の視点上下運動を「エクササイズプログラム」と言い切ったり、これまた数秒間、自然風景絵画を見せ、クラシック音楽を室内に流し「精神が再活性化されたはずです」と言い切った上、もういいから寝ろ、と言い出す。
 もうこの時点で、自動メッセージの制作者が非常にシステマチックかつ人間性をぶっちぎって無視した雑さで主人公を管理しようとしている事が解る。
 部屋から出ることも出来ないため、促されるまま眠り、次に目覚めると室内の雰囲気が一変。部屋を照らしていた照明は暗く落ち、調度はボロボロ。自動メッセージは「あなたがコールドスリープ状態になったいた期間は999...99日間です」となんか怖い事を言い出す。
 事態を把握するヒマもなく部屋のドア方向から主人公を呼ぶ声が。ドアを開けると呼んでいたのは天井からぶら下がった鋼鉄製の目玉みたいなもの。
 目玉がやたら早口でまくし立てるには、ここから主人公を脱出させてくれるという。
 軽い調子で主人公に脳障害が出ている可能性を示唆したかと思うと、今度は返事をしろと言うがプレイヤーに出来る事は飛び上がる事だけ。「えっと、今やったのはジャンプだ。ジャンプしたんだ。まあいいか・・・次は『リンゴ』と言ってみてくれ」やっぱりジャンプしか出来ない。「よし、それでいいだろう」全然よくないうちに、無言のまま部屋ごと、主人公はどこかに運ばれ始める。
 自分勝手に喋り続ける目玉=Wheatleyが言うには、予備電源が落ちて施設の大量の人間=被験者を起こせなくなったからほとんど干からびた死体になってしまっていて、管理者が見たらなんて言い訳していいか困るので、生きてる人間である主人公に代わりに管理者に言い訳=隠蔽してくれ、というような理由で脱出を手助けしてくれているらしい。自分勝手な言い分を自分勝手に言われ続ける間も、部屋はガンガン運ばれ、もといガンガン色んなところにぶち当たって崩壊しながら、どこかに向かっていく。
 そうして部屋ごと運ばれ、隔壁をぶち抜いて辿り着いた場所は「未来の牢屋」がとんでもない年月で風化したかのような小部屋。Wheatleyは再会の約束を勝手にしてどこかに去り、代わってここからは録音メッセージを案内役に先へと進む事になる。実は、このエリアはポータル1のスタート地点であり、プレイヤーは前作のおさらいを兼ねて(ここでステージを重複させているところがまた巧い)操作方法を体得する事になる。仕掛けなどは全く同じなのでごく自然に操作を体得させる過程は今作からプレイする人間に対しても自然であり、しかし、前作をプレイした人間にとっては、前作から一体どれほどの月日が経過したのか、植物が縦横無尽に生えまくりテストチェンバーはボロボロになってしまっているため、視覚的にはとても新鮮な気分を味わう事になる。

 オープニングから最初のチャプターが開始されるまでをテキストに起こしてみた。
 果たして自分の文章でどこまで伝わったか解らないが、世の中にはこのもどかしさを解決させる素敵な方法が存在するので、そちらを案内しておきたい。
 Portal 2 日本語版 プレイ動画 - チャプター1まで - YouTube
 最初からこれを貼らなかったのは、文章中心にだらだら書きたい欲求があるし、せっかく書いたからにはちょっとは読んで欲しいからである。

 このゲームは全編一人称視点でゲームは進む。最近は演出パートやデモのみ三人称視点になるゲームもあるが、流石はハーフライフシリーズを制作したValve、全編徹底的に一人称視点を崩さない。しかし、オープニングで突如動き始め、その後派手に崩壊していく部屋のようなダイナミックな展開が、絶妙なタイミングで発生するため、パズルばかりで単調になるということがない。
 ポータルガンという特殊なシステムがあるとは言え、基本的な流れは「脱出ゲーム」の本作だが、舞台のイメージが驚くほど豊富で飽きさせない点も素晴らしい。植物に浸食された部屋、無機質なテストチェンバー、工場地帯のような場所、崩壊した都市、広大な空間・・・。そのたびにパズルのギミックなどが順次追加され、ガイドキャラが変わり、ストーリーのあるパズルゲームとしてはかなりのボリュームをきっちり保たせている。

 またそういった演出面と絡んで、物語も非常によく出来ている。
 このゲームでは最初のWheatleyとのやりとり(しゃべれと言われてジャンプしか出来ないくだり)が象徴し「はいプレイヤー、あなたはこのゲームではしゃべれません!」と明示される通り、プレイヤーは本編の最中一切全く喋らない。
 そんな無口な主人公に代わりとばかり、その時々の場面で必ずいるガイドキャラは喋りに喋り倒す。物語を主に牽引するのは彼らだ。この語りが設定と相俟って絶妙。各々のキャラは自分勝手に自分の言いたい事を言っている、という発言内容なのだが、読んで行くとちゃんと物語の流れや、施設のバックボーンなどが把握出来るようになっている。
 海外ゲームは日本のゲームの何倍も「説明セリフ」を抑制する。一昔前は抑制し過ぎて山ほどの裏設定があったり、操作方法すら解らないという事があったが、最近の海外ゲームはこの辺りのチュートリアルが非常にうまいゲームが増えている。それでも、不自然な説明セリフが極力言わせない。だから、キャラクターは全体的に「そいつが知っているそいつの認識を前提にして」話をする。そのため、発言の裏を読んで想像する必要が出てくる。こここがうまくないゲームだと、背景設定の把握に時間がかかり過ぎたりして、ゲームがかなり進行しないと意味不明な会話が連続したりする事になったりするのだが、ポータル2はその辺りが抜群にうまい。出てくるガイドキャラの大部分が大雑把だったり感情的な事もあってか、曖昧に受け取っても話の内容が把握出来るし、何よりどのガイドキャラもクセがあり、キャラ立ちがとがっていて、読んでいて非常に楽しい。人間非人間問わず「黒い」やつばかりなので、そういうテイストが大好きな自分にとってはたまらなかった(ゼルダなんかもそういうところが好きだったりする)。
 中でも抜群のキャラ立ち具合なのが、どうやら前作で主人公に木っ端微塵にされたらしいGlaDOS=ポテトさん。とにかく前作で破壊された恨み骨髄らしく、ひたすらに嫌味をたれまくる。パズルを解くたびに何かしら嫌味を垂れる。こいつのAIは一体誰が何の意味でこんなねちっこい性格設定にしたんだ!と制作者を糾弾したくなるほど徹底的にしつっこくねちっこい。隙あらば主人公を殺したいものの、テストチェンバーを使う被験者がいなくなるのは困るらしく、代わりに延々と精神口撃を垂れ流してくる。忘れた頃に必ず体重の事を指摘するなど、口撃内容がいちいちせこい。施設を牛耳るメカのクセに。一応不死のクセに。
 最初はGlaDOSさんのねちねちした口撃に「なんなんじゃおまえは!」と半笑いで言いながらプレイしていたが、そのうちに二周くらい回ってクリアする頃には非常に愛着のあるキャラと思うようになっていた。
 あ、もちろんWheatleyさんもクソ雑野郎で好きです。

 ということで「今年度最高のゲーム!!」と海外のレビューで書かれた本作ではあるが、今年度最高をもう決めるのは気が早いんじゃねーか、というのはさておき、その高評価自体は間違いないと感じた。
 程よく他にない頭の使い方するパズルと、ドラマチックな展開、魅力的な会話で、FPSスタイルのゲームが苦手なプレイヤーでも是非一度やってみて欲しいゲームだ。
 ただ、3D酔いする人は気をつけないと重力方向の変化で洗濯機に放り込まれたような気分になるかも知れんね・・・。

 気になった事が一点。これはこのゲーム自体の問題でなくてFPS全般に言える事だが、なんでFPSはプレイヤーの肉体を表示したがらないのだろう。
 確かに、ポータルではポータルガンの穴を通して自分の姿を見れるし、別のFPSでも鏡越しに自分の姿を見る事が出来る場合はある。けど、ここで言ってるのは視点を真下に向けた時に胴体や足が見えないのが不思議でしょうがない。自分としては、視点を真下に向けた時などは自身の身体が見えた方が眼前の空間のサイズ比が把握しやすくなるし、より一体感も上がると思うのだけれど、技術的に問題になるような事柄があるんだろうか。
 例外としてEAから発売された「ミラーズ・エッジ」があり、あの作品では足元まできっちり見える。そのせいで余計に、あれがスタンダードにならない理由が単純に「面倒くさい」以外に理由が思い当たらない。面倒くさいかどうかはプレイする側には関係ない、という業腹な理由ではあるが、どうにか頑張ってもらえないだろうか。真下を見た時の一瞬だけでも感じ方が全然違うと思うんですよ。