ヨコズキゲーム’

ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

「メタルギアソリッド4 ガンズオブパトリオット」と「ライジング」の話。

 文明の利器すごいわー。
 突然猛威を奮う西日に、早くもエアコンをつけた俺です。

 エイムするゲームも、テキストを読むゲームも今はちょっとしばらくいらない。
 俺は殴りたいんだ。殴らずとも接近戦がしたいんだ!
 と、いう気分から、二日に一回は「マックスアナーキー」のサイトを見にいっている。


■「そんなに殴り合いゲーがやりたかったらお前格闘ゲームやればいいんじゃねーの?」
 という声がする時があるので、いっそ「スパ4アーケード」か、「ブレイブルー」か、「KOFXⅢ」辺りを購入しようかと考える度「いやそこまで対戦物やるタイプじゃないし、どうせならアケコン買いたいなーとか、贅沢な事考えちゃうし、そうなると予算ねーんだよなー」という思考をループさせてるうちに就寝する。就寝すると一旦落ち着く。そうやって騙し騙しやってればドラゴンズドグマも出るし、あれは接近戦メインで遊べるから大丈夫になってくれる、はず。


■そんな日々を送りながら、当座プレイするゲームとして何故か突然「メタルギア4」をチョイス。


 何で今更とか言うな。そういうことじゃないんだよ。


 シリーズをほぼプレイしていながら、PS3を所持していなかった為、未プレイでいた完結編だが、何となくゲーム屋に入って、出て来たら持ってた。金は減ってた。

 サクサクとプレイし、二日でクリアしちゃったんで、感想を書く。

 プレイ状況は、ノーマル難度で一回クリアしただけ。
 オンラインは今更だし未着手。

 いやー、ざっくりまとめると、メタルギアだけの良さは相変わらずなんだけど、正直今やると辛いなー、という感じ。
 あくまでタイミングや、俺個人の都合が影響していると思うが、全体的に辛めの感想っす。


■まずは個人的な「メタルギアのいいところ」ってやつを書き出してみようと思う。

 ・何はともあれステルスでこそこそ。
 ・敵に見つかった後の行動選択肢が多い。
 ・海外のステルスゲーと違ってちゃんとボスらしいボスがいる。
 ・軍物マニアっぽいノリも、適度にインテリなノリも含んだ物語。
 ・現実の延長にあるSF設定。
 ・バカ要素。

 という感じ。
 じゃあ、この4はどうだったか、って言うと基本的には上記をほぼ全部踏まえてる。
 踏まえてるんだけど、やっぱり一昔前のゲームだなぁという感想。


■では、具体的に一昔前だと感じたゲームシステムの話から。
 
 基本の内容はメタルギアソリッドからほぼ変わらない、ステルスかくれんぼゲーム。
 これ。既に一昔前だって理由出た。
 でもまぁ、もうちょっと噛み砕いていく。

 相変わらず単身敵地に身を投じるスネークさんが、敵兵から身を隠しながらやんわりと敵を倒しまくっていく。

 ノーマル難度ではガッチガチのリアル系ステルスゲームという感じではなく、敵の視界・聴力共にかわいそうなくらいに悪いため、すぐ身近にいるスネークにも全く気付かない事を利用して、オモチャに出来る。
 ホールドアップさせたり、CQC(近接格闘術)で戯れにボコったり、麻酔銃で眠らせたり、気絶させたり、もうやりたい放題。
 
 ソリッド1をベースに、2でゲームとしての基本設計がほぼ完成しているため、正直、新味はほとんどない。
 3で登場したカモフラージュを、自動擬態効果のあるオクトカムスーツによって自動化していたり、感知した敵の気配がビジュアル化されて見えたり、匍匐体勢から転がって移動出来たり、特定状況で死んだ振りが可能だったり・・・。
 あと、3にもあったストレスゲージが3とは違った形で色んなシステムと連動していたり。
 色々付加されているが、細かい変更であり、どちらかと言えば、全体のレベルデザイン変更の方がゲームの印象を大きく変えている。

 舞台となるマップは世界中。
 序盤は、中東の戦場が舞台となっており、敵だけでなく民兵も入り乱れた戦闘が頻発する。
 前作までは明確な安全地帯として使えたロッカー(絶対のものではなかったが)などが、そもそも少ないため、オクトカムによるカムフラージュ擬態や、民兵誘導による陽動を利用したりして、戦闘を回避する必要がある。
 中盤のヨーロッパでは、厳戒態勢の中、レジスタンス尾行。強行突破ではなく、完全なステルスがより強く求められる。
 シャドーモセスから終盤付近では、機械体が多数登場し、挙動が読みにくく、これまでのステルス技術が通用しにくくなる。
 こうした舞台バリエーションだけでなく、ゲームとしても、要所要所で、バイクによるカーチェイス、メタルギアREXによるRAYとの巨大バトルなど、特殊操作による、イベント戦が起伏をつけてくる。
 ボス戦もかなりいい感じで、戦闘状況と、敵の攻撃手段がなかなかマッチしており、闘い甲斐がある。1、3の濃いボス達を彷彿とさせる能力設定も合間って、なかなか楽しい。


■このように総括していくと、色んな要素が盛りだくさん。すごく良さそうなのだが、反面、芯であるはずの「ステルス」がボケていると、感じてしまった。

 既に書いたように、何せ、骨格自体はソリッド1からほとんど変化していない訳だ。
 4年も経過してプレイした俺が悪い、という説もあるんだが、それにしてもやっぱり古い。

 まず、個人的に、カバーポジションから別のカバーポジションへ、即座に移動する方法がないのが痛い。
 老いたとは言え、全体にはかなり無茶な行動を、させられ、もとい、しまくるスネークさん。それが、カバーポジションからカバーポジションへ移動するのに、いちいちスタスタ歩いていくしか方法がない。
 今作では隠れる場所が少ない為、尚更、カバーからカバーという動作は是非欲しかった。別にカバーからカバーへ移動する際に見つかっても良いのだ。ただ、よりキャラを滑らかに動かしたいだけで。

 元々、メタルギアシリーズはモーションが生硬い、という印象がある。
 シリーズを通して、スネーク(雷電も)の動きは直線的で、姿勢のせいもあって規則正しいなお前!とずっと思っていた。
 PS1第一作のテイストを連綿と受け継いでいる、と言えば、聞こえは良いが、シリーズが進むに連れて、徐々に滑らかさに欠ける、と感じるタイミングが増えていった事も確か。
 前述のカバーポジションからカバーポジションへの移動もそうだし、立ったりしゃがんだりの動作も流れるような動作で行っている、というより、スイッチが入ったかのような動き。アニメーションブレンドによって滑らかかつ気持ちの良い動きを提供してくれる昨今のゲームと比べるとどうしても硬い。
 プレイヤーの行った操作に対して、明確なレスポンスを返すのは、本来悪い事ではないのだが、リアル指向で描写された中で、機械的な動きをするのは如何にも違和感を感じるし、特に、後発のステルスゲームと比較すると、どうしても見劣りする。
 そうした生硬いモーションは、動かしていても楽しさを余り感じない。
 元々ステルス=軽度の持続的ストレスという側面があるため、操作をしていて気持ちよくない、というのは明らかなマイナスである。

 敵兵の視力・聴覚のアンリアルなしょぼさも、ここまで緻密に作られた世界の中では、違和感が際立つ。
 元々、軍事方面についてはリアル指向の作風の中、こうした敵兵のしょぼさには違和感があった。「あくまで、これはゲームであって、かくれんぼなんだから」と言う「ごっこ的価値観」によるゴリ押しで飲み込んでいたものを、同じステルス系の他作と比較して違和感が増幅されてしまうと、どうしても辛い。

 勿論、自分はシリーズ通して4以外はプレイ済だった程度にはこのシリーズの事が好きだ。どうしてもダメだった訳では無い。
 無いけど、やっぱり基本の部分が古くさくなって来ているのかな、と感じずにはいられなかった。


■一方で、根本的なゲームシステムとは違って、頗る進化し続けているこのシリーズのグラフィック。
 発売から4年経っても、未だ何の遜色もない。ほんと、すごいと思う。

 表情関係こそ、モーションと同じく、生堅さを感じる場面があるものの、カメラに対する疑似被写界深度の描写、涙の表現など、今見ても余裕で高レベルであり、当然、当時はブッチギリの最高品質だっただろう。
 リアル系でいて、個性がきっちりあり、同時にどいつも格好良く、何より、女性がガチに美人。やっぱ美人がちゃんと美人ってのは良い*1
 中でも、メリルのマッチョ美人っぷりは感心仕切りである。ちゃんとマッチョなのに、ちゃんと美人なんだもんなぁ。男勝りで、ナオミと比較すると、色気に多少欠ける感じの絶妙感とか拘り半端ない。

 マップは小刻みで、細かい単位でローディングが入る。
 今ならもっと最適化されて、ローディング回数を減らしたり、ともすればシームレス化出来そうな気もするが、ゲームの性質上、1マップ1マップじっくりやる感じなので、滅茶苦茶に気になってしょうがない、という感じではなかった。

 世界中を舞台にするだけあって、様々なロケーションが登場するのも目に楽しい。
 中東の乾いた街並みは市街の密度感がよく出来ていて、大暴れしまくるPMCと民兵による戦場の臨場感が素晴らしい。
 後半舞台となる、シャドーモセスとアーセナルギアが、屋内において、同じ機械系マップになるが、近代的:未来的の対比になっており、その差が面白かった。


■さて、このメタルギア4、一番のウェイトを占める、物語・演出方面について。

 自分は、メタルギア4はもうプレイしなくて良いかなー、と思っていたところがあった。

 概ねシステムの大規模な改修がないのは、事前情報から見えていた訳で、そうなると楽しみの大部分は、完全に物語の帰結に対するものとなる。
 3は滅茶苦茶面白かったけど、物語の為だけにハードごと買うほどの熱は既にないしなー、と、やんわり放置し続けているうちに「METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS」が発売され、伊藤計劃フリークでもある俺は、速攻で購入して読んでしまった。

 このノベライズ版、流れは完全にゲームのまんまである。
 本編では主にフラッシュバックでチラ見だった過去のシリーズ繋がりについても軽く解説され、細かい繋がりを忘れてしまった人にも親切。
 更に、本編では明確には伺い知ることが出来ないキャラクターの心情も結構描写されている。
 ビューティー&ビースト部隊は存在ごとカットされているが、スネーク最後の闘いを堪能し、これまでのシリーズの絵解きを見届けるについては、何の問題もない。むしろ、一部のテーマにおいては、本編よりしっかり堪能出来てしまうのでは、という向きさえある*2
 こうしてノベライズ版を先に読んでしまったとなると、もうわざわざプレイする理由がほとんど見当たらなくなってしまった。

 今回、衝動的な購入からプレイする事になったが、こうでもなければ多分プレイしなかっただろう。

 いざプレイしても、展開、演出の無理矢理クライマックス感が目立って感じられたのは、上記のような経緯を経てのプレイだったから、というと弁護し過ぎだろうか。

■展開、演出上、強引と感じた部分を具体的に書く。

 まず、もっともでかいのがビューティー&ビースト部隊の不必要感。

 ステルスゲームとして見た場合、きちんとした迫力あるボスがいる、というのは、メタルギアの大きな美点の一つだ。
 メタルギア以来、特に洋ゲーで増えたステルスゲームだが、大抵はリアル指向のせいか、ボスらしいボスの不在が目立つ。
 物語上、散々煮え湯を飲まされた敵が、いざ戦うと雑魚と同じ程度の能力性能しかない、というのはしょっちゅうである。QTEで激しくやり合う演出などでボスらしさを醸し出しても、ゲームプレイとしては、雑魚を相手にしているのと変わらない場合がほとんど。
 だから、ゲーム寄りに見ると、ビューティー&ビースト部隊の存在には、すごく意味がある。あるんだけど、如何せん物語上での立ち位置が微妙過ぎる。
 本作上のテーマの一つであると思われる「戦争が人を変えてしまう」という部分を象徴する存在ではあるが、シリーズ通しての本筋、リキッド達との絡みが一切ないわ、そのバックボーンを全部ドレビンの語りで済ませてしまうわで、完全に「ボス戦のためのボス」という機能性が目立ってしまっている。
 いざ絡ませようにも、ビューティー&ビースト部隊全員、まともなコミュニケーションが出来るか怪しいようなメンツなのだが、せめて、リキッドの指示を通信で聞いているぞ、というシーンは、ちょいちょい入れても良かった気がする。
 そりゃ、設定や能力、ボス戦としての存在感自体は、メタルギアソリッド2のデッドセルよりは良かったけどさ・・・。


 また、随所で「繰り返し」が悪目立ちしている。
 ビューティー&ビースト部隊を倒した後の、剥き出しになった本体とのバトル。
 山場で必ず老化発作を起こし、ピンチになるスネーク。それを助けて死にかける雷電
 言いたい事や、見せたい物があるのは解るが、ちょっとやり口が安易過ぎる気がする。

 スネークが老いて、ボロボロになって、それでも戦う姿には胸を打たれる。もうマジでやめろと、オタコンの気持ちになって言いたくなる。でも、そういう風に誘導させる為に、作為的なまでにピンチになり過ぎるのはどうなのか。
 ピンチの度に登場してもっとピンチになる雷電もかわいそう過ぎる。全身サイボーグ化してたり、自暴自棄な闘い方をしてるにしても、毎回ズタボロになる為に戦ってるようにしか見えないのはどうなのか。
 物語全体が、今までのシリーズの総精算である為、過去のシリーズを想起させるような展開があるのは別に構わない。むしろ、そういうのは、燃えるくらいだ。
 しかし、今作内だけで、同じような展開が繰り返されるのは「おいおいまたかよ」と思わずにいられない。


 プレイヤーにとってある種のご褒美的な派手なムービーパートも、今作ではやけに冗長だ。

 老いてしまったスネークに合わせて、大人な雰囲気を演出しようとしたのか・・・いや、正直、何故こんな事に状態。必要とは思えないシーン、カットが大量にある。
 3までは、ストレスの続くステルス=潜入をくぐり抜け、派手なボス戦でストレス発散した後のご褒美、次なる挑戦への動機、という位置づけとして、ムービーパートがしっかり機能していたが、今作においては、随所で単なるダレ場になっている。
 特にブリーフィングシーンの冗長さは、データの無駄遣いにしか思えない。

 情報量の多い映画では、視聴している側に頭の整理を促すため、観ている人の頭のリフレッシュタイミングとして、わざとダレ場が設けられる事がある。要は「緩急」って事。

 しかし、ブリーフィングシーンは、現状の目的やミッション内容を明確にする場だ。
 要点だけをさっさと説明してさっと終わらせてしまうべきところであって、まったりダレ場にする必要はない。
 一気プレイすんな!って事かも知れないが、ミッション毎にインストール待ちが発生する時点で、プレイヤーの方は充分クールダウンしている訳である。
 ブリーフィングと同時にキャラの心理描写まで欲張っているなら、変な間が随所に挟まっているだけになっているから失敗しているし、ダレ場を作っているつもりなら、説明と咀嚼を同時にするのはタイミングがおかしい。タイトルメニューからいつでも見ることが出来るような場面に悪戯にウェイトをかけるのは、如何にもバランスが悪いと思う。
 アーセナルギア潜入前に、ミッション説明を二回も話始めた時は、正直目が点になった。そんなに難しい状況じゃなかったし、むしろこれ解らなかったら、今までの内容にもついて来れてないだろう。

■演出などのバランスを不満に感じる要因として、3が絶妙にバランス良く出来ていた事が挙げられる。いや、出来るはずだよ!出来るはずなのになんで?!という。
 3では、敵ボス達の個性、テーマとの絡み具合もほど良く、演出の派手さとプレイ部分とのバランスも良かった。
 4は、簡単にまとめると、流れに乗っていないボスと戦って、同じような展開でリキッドを逃がしてズタボロになり、舞台が変わる度に冗長なブリーフィングで流れが寸断される。
 あまりに差が激しすぎる。


■しかし、差が激しいとは言え、もしノベライズを読んでいなければ、物語面の牽引力によって、もう少し気にならなかったのかな、という気持ちもないではない。
 どちらにせよ、同じ点が気になったとは思うが、ここまでストレスを感じる、という事はなかったとは思う。

■ちょっと酷評状態になったので、良かった点も挙げておきたい。

 何はともあれ、確実に後付けもあるだろう物語を、きちんとまとめたのは素晴らしい。
 「わざと誘導してた」ってお前、完全に何度かスネークを殺しかけてたじゃねえか!と思わないでもないが、わざとスネークを泳がせるリキッドや、どうもぼんやりしていたソリダス含む2の事件に、よく説明するような展開を作ったなぁと思う。

 後は、最後の殴り合いね。このゲームはこれに尽きるかも知れない。

 シリーズ定番となる、最後の最後は、己の身体のみを頼りとした肉弾戦という展開の中で、過去の記憶がフラッシュバックして行く、という演出は猛烈に格好良い。
 この辺は小説版にはなかったものなので、ここだけの為に本作をプレイして良かったなぁ、とすら思った。最後はベタが勝つ。
 ついでに言うと、ここの肉弾戦がここ専用のシステムで殴り合い物としてそれなりによく出来ていたのも、良かった。

 小ネタの中では大塚繋がりでビッグボスを大塚昭夫氏が担当してるのも良かった。声違い過ぎるじゃん!とかそんな問題ではない。そんな問題ではないのだ。


■四年を経ても、遜色ないグラフィック、広げに広げたシリーズを見事畳んだのは素晴らしいと思う。

 しかし、やっぱりゲームの骨格が最早古くなっているのは間違いない。
 基本は2で完成されており、その2はもう10年以上前の作品なのだ。
 確かに、良いものはいつまでも経っても良い。
 しかし、グラフィックが進化して、リアリティレベルが変化したのなら、それに合わせて、ゲームデザインも変わるべきだと、自分は思う。
 そういう意味では、メタルギアは変わり時を見失ってしまったのかも知れない。

 プレイした時期が悪かったのも当然あると思うが、ピースメーカーなど、シリーズが続いているにも関わらず、4年経った今でも、ステルスという骨格については、その進化形を見れていないのは、ちょっと残念だな、と感じる。


■さて、「メタルギアライジング」について。
 4をもって、スネークの物語は終わりになっている。
 一方、メタルギアシリーズ自体は「メタルギアライジングリベンジェンス」へと続いて行く訳だが、そろそろ、根本的なシステムの変革が求められているのは確かだろう。

 メタルギアソリッド4の発売後、スプリンターセルコンビクション、「デウスエクス」など、より洗練された操作のステルスゲームが登場した。
 ステルスとしてのスタイルは少し違うが、かくれんぼという意味では、そのアクションも含めて、やはり洗練された「アサシンクリード」がある。
 ステルス自体は軸ではないが、軽妙な動作から、流れるようにステルスコンバットが可能な「アンチャーテッドシリーズ」もある*3
 純粋にステルスゲームとして考えると、モーション、システム共に、スプリンターセルの洗練度合いは破格で、その登場の以降、自分の中では、メタルギアシリーズが霞んでしまった。
 もう、メタルギアにしかないものは、楽しいボス戦と魅力的なキャラによる物語、でもって、かっこいいモデリングくらいしかない。いや、こうやって書くと、充分メタルギアだけの要素はあるんだが、全部、ステルスゲームとしての部分じゃないし、今後も続けるのなら、ステルスでも、もう一度先を行って欲しいと思わずにはいられない訳だ。

 ただ、ステルスゲームとしての次を託す企画として、「メタルギアライジング」では、相当難しかったのではないかと思うのだ。

■何せ主人公は雷電である。サイボーグ忍者であり、メタルギア4で月光数体相手に、謎の刀一本で、勝つようなヤツである。
 少なくとも4時点の雷電は、ステルス=隠れる必要が全くない。むしろ超人的な身体能力を考えると、一切隠れずに屋根から屋根に飛び回って逃げたり出来るし、何というか、SFアサシンクリードを想像した方が早そうな内容になる。
 というか、プレイヤーとしては、隠れるより敵の前に飛び出してズッタバッタと切った方が面白そうに思える時点で、もうステルスゲームとしては成立しない。

 となると、ステルスゲームとして成立させる為には、雷電に足かせが必要。恐らく、それが「斬奪」というコンセプトだったと予測される。
 つまり、雷電が超人的な能力を維持する為には、敵からエネルギーを奪って充填する必要があり、そのエネルギーが切れている間は、通常の人間と同程度の身体能力しかなくなる=隠れて行動する必要がある、というようなゲームデザインをしようと思っていたんじゃないかと。
 完全に憶測だけど。

 ただ、これでは、ベクトルが逆。
 何せ、エネルギーが切れない間はステルスプレイをする必要はほとんどなくなるわけで、うまい人ほど、ステルスする必要がないシステムにしかならない。
 そうならないバランスで設定しても、「強い状態であるためにステルスをします」という形では、ステルスそのものが「障害」として設定されてしまう。
 ステルスゲームなのにステルスが障害じゃ話にならない。ステルスはよりうまく切り抜ける為の手段だからこそ楽しいわけだ。
 デウスエクスの電池式サイボーグとは訳が違う。アレは、電池がないなら武力突破が出来るようになっている。つまり電池があるからステルスが出来るわけで、ステルスがゲームとしてより良い状況に設定されているからこそ、ステルスゲームになっちゃってる訳だ。
 ただでさえ、忍耐が要求されるステルスという遊び自体が、負荷の結果となると、楽しいかくれんぼゲームにはなりづらい。

 まぁこんな風に考えたのかどうなのか、知らないが、何にせよ「ソリッドではないけどメタルギアの名を冠する訳だからやっぱステルスで、でも雷電でぶった切りゲームやりたい!」なんて、チグハグな事を考えていたんだとすると、纏まるゲームも纏まらない。

■上記はあくまで俺の想像・仮定である。
 だから全然別の流れで詰まっていたのかも知れない。

 しかし少なくともライジングという企画がどん詰まっていたのは確かなようだ。
 結局、去年の冬、以下の動画のような事態になった。

 プラチナゲームズの手に渡ったライジングは、エフェクトが付け足されてケレン味倍増の内容となり、物語的にもより派手で自由の利く4以降の世界に突入した。
 そして、見た感じステルス要素は削られているか、あるいは、なくなっているように見える。

 先のように考えていた俺にしてみると、正直、そりゃそうだろう、という感じだった。
 そして、プラチナが担当するなら、ステルス要素をばっさり削ってアクション側に大きく舵を切った方が面白くなるだろうし、そっちの方向で進むにしても、敵は強大な方が面白い。

 メタルギアだからって、スピンオフなのだから、ステルスに拘る必要はないと思うし、どうせならバリバリの身体能力設定を活かして、無茶アクションゲーを展開してくれても良いと思う。4の時点で相当アホみたいな事してたし。
 元を言えば戦車砲の直撃で生き残るスネークや、生身の時でもメタルギアRAYのミサイルを食らって死なない雷電が主人公のゲームだったのだ。
 ヒートブレードの腕をサイボーグが受け止めてぶん投げても、大した違いはない。

 4で戦う必要がなくなった雷電が、また闘いに身を投じている理由は気になるが、何かしらそれらしい理由を作ってくれたと信じる事にしたい。
 何せ一度はお蔵入りになる企画を、他社に預けてまでして続行したのだ。他社の希望だからと言って、わがままで続行した上、4の雷電におけるドラマを台無しにするような理由付けはしてないだろう。してたら・・・えっと・・・まぁ笑うしかねえな。


■ライジングは純粋に無茶苦茶するアクション路線で良いと思うし、また、そうするしかない企画だったように思う。

 しかし、ステルスゲームとしてのメタルギアも、また別に作って欲しいところだ。
 繰り返しになるが、ステルスゲームというだけなら、海外の後発ソフトに優秀なものがあるのは事実。しかし、メタルギアシリーズだけの良さもまだ残されたままだ。
 ほど良く現実の延長にあるSFな設定、個性の強い敵、ケレン味のある演出や小ネタ、そして、ボスらしいボスの存在。

 メタルギアシリーズという言い方が悪ければ「小島プロダクション」にしか出来ない事がまだまだあると思う。

 そうしたゲームの登場を心から待ちたい。
 いや本当に。



■しかし、思ったより長い感想になっちまったな・・・。



※ところどころ日本語が死んでたので、修正した。
 基本内容に変わりはない。

*1: 胸がばっくり開いている=大人の女性記号っぽい扱いなんだろうか。ノーブラは垂れるぞ、と思ったけど、垂れる事を気にする必要がある人たちじゃないから良いのか・・・。

*2: 尚、小説として見た場合、正直、脚本からのノベライズという事もあって、手放しに絶賛出来る内容ではない。そりゃ「虐殺器官」「ハーモニー」と比べるってのは無茶だろう。しかし、数少ない伊藤氏の著作、しかも極厚の、メタルギアファンとしての愛を堪能出来る訳で、間違いなく良い本

*3: 特にステルスポイントが多い、2にあたる「黄金刀と消えた船団」のステルスは軽妙な動作も合間って、キレイに昏倒させ鎮圧した時の爽快感がヤバイ。マジでヤバイ。ステルスがおまけなのにヤバイのがヤバイ。