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ヨコズキゲーム’

ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

「Spec Ops:The Line」

感想 steam 海外

 「Spec Ops:The Line」をようやくクリアした。

 ”凡作シューターゲームの皮を被った辛辣な一撃”というような評だけを色んなところで見かけていた本作をやっとクリア(別に怠くて放っておいたわけではない)。

 評判に相応しい、衝撃を備えたゲームだった。

 結構、その内容も含め、洋ゲー好きの間では有名なゲームなのではないかと思うが、どんなゲームかよく知らない・TPSやドンパチゲームは割と好き・刺さるゲームをやってみたい、という人は、以下の余計な感想を読まず、プレイしてみるのがオススメです。セールの時はすごく安かったりするし。

 


Spec Ops: The Line - Launch Trailer - YouTube

 

プレイ状況

 とりあえずノーマルでクリア。エンドは3種のみ確認。

 収集物は未コンプ。

 

 

ビル砂ビル砂ビル砂のグラフィック

 舞台は砂に埋もれてしまったドバイ。よって、とにかくビルと砂が目立つ。

 ロケーションのバリエーションは多い方ではないが、砂嵐で視界がサンドアウトする様子などはなかなか見応えがある。

 コンシューマ版はどうだったか知らないが、steam版は残虐描写も結構きつめ。ヘッドショットで頭が吹っ飛ぶ・・・というのもそれなりに重要だが、それよりもっときつい描写がある。物語のテーマにも関わるところなので、かなり入念に描写されており、なかなかきつかった(きつくないと意味がない)。

 全体的なことを言えば、綺麗なグラフィックという訳でも、ダメということもない。ちょっと硬さを感じる程度かな。ライティングなどは結構綺麗。

 一部イベントシーンで、フレームレートが不安定になったのが気になった。

 

平凡気味なゲームプレイ

 まずはゲームプレイについて。

 ゲームプレイそのものを、ざっくり表現する言うと、平凡なカバーTPS。物陰に隠れて敵の位置を伺い、タイミングを見て撃つやーつ。

 仲間へ指示を出すという要素もあるが、少々簡易過ぎて戦略的に使うのは難しい。また、後半敵が強くなると雑に飛び出して死んだりするため厄介な面も。

 砂嵐に包まれたドバイ、という舞台に相応しく、砂を利用した攻撃も可能だが限定的でほとんどイベントに近い。

 ちょっと特徴的な点は、大量の敵兵が出てくる一方、個々の敵は柔くバリバリ撃ち殺せる点。また、カバーポイントが崩れたり、カバーしていても高低差のある地形では高所から撃たれるため、カバーしてれば常に安全という訳ではない。この点は多少戦闘に起伏をもたらしているものの、個性があるとまでは言えない感じ。

 にしても、とにかくずんどこ敵兵が現れる割に、敵のバリエーションも少なく、中盤辺りからは単調さも感じ始めてしまった。その頃には、物語に引き込まれ切っていたため、プレイを断念するには至らなかったが、単調な割に、時折、異常に難度の高い場面があり、なんだかんだで物語の強力な牽引力あってのゲームという感がある。

 

重くどうしようもない物語

 「ドバイが舞台」「辛辣で重い」「モラルを問う内容」程度の情報は知っている状態でプレイしたのだが、ある程度、事前の心構えがあっても衝撃のある物語だった。まだ少しもやっとしたものを引きずっているくらい。

 マルチエンド(マルチストーリーではない)を採用しつつも、どのエンドもバッドエンドにしか思えない内容で、報われるような話ではない。

 舞台となるドバイは繁栄見る影もなく荒廃し“終わってしまって”いるし、民衆は主人公たちを全く受け入れてくれない。救出し来たはずのコンラッド大佐率いる部隊は主人公たちに牙を剥き、暗躍するCIAは信用出来ない。

 途轍もなく厳しい状況の中、プレイヤーの取れる行動は、ゲームシステムの与えてくれた「狙う」「撃つ」しかない。そして、狙って撃つことは目の前の敵を撃ち殺すであり、救出対象である人間も、同じ米兵も、撃ち殺すという事でもある。

 狙って撃たないという選択は、すなわちゲームオーバーであり、状況が好転するのではないか?と考え、敵を撃ち進めるプレイヤー(つまり俺のような人間)は、悪い冗談のような状況へと追い込まれていく。ほんとにどうしろって言うの。

 中盤以降、主人公であるウォーカー大尉は、仲間から、あるいは、敵となったコンラッドから何度も言われる。「お前のせいだ」「お前が敵だ」「お前が殺した」

 この「お前」とは、ウォーカー大尉でもあるが、PCの前に座ったプレイヤー=俺でもある。だってどうしろって言うの。ゲームとして与えられた選択肢は何を選んだってここに辿り着いたよ?

 でも、銃を撃ってここまでウォーカーを導きゲームを続けたのは自分だ。コントローラーを放り出す選択肢は思いつかなかったんです。

 そんなプレイヤーに、ローディング画面が追い打ちをかけてくる。

 「英雄らしい気分になってきたか?」

 いやぁ・・・最悪だ。

 

どんどんゾンビになっていく

 プレイを続けるうち、ウォーカー大尉は勿論、同じデルタの仲間であるルーゴ、アダムスも、どんどんボロボロの見た目になっていく。このさまはごく自然で、気付いたらボロボロだな!と驚いた。

 砂で汚れ、傷つくのみならず、白燐弾で火傷を負い、いつの間にか防弾チョッキにも穴が開き血が流れる。終盤は、展開される物語内容も相まって、その見た目がゾンビのように見え怖かった。死んでないのが不思議なほど・・・と思っていたら、エンディングの一つであのセリフ。えっと?レトリックなの?どっちなの?

 思えば、死ぬ直前のアダムスの眼窩が、これまで道中で見た壁アートのように黒く見えなくなっていたようにも思え、めっちゃ怖いんだけど。

 

どこからどこまでが幻覚だったのか

 いくつかのポイントから本作の物語はかなりの大部分、幻覚というか煉獄みたいなものだと感じた。

 あくまで気になった範囲のみだが、オープニングヘリシーンと途中のヘリシーンの違いがひとつ(ループ物を感じさせるセリフ)。もうひとつが、白燐弾爆破直後の地獄をスタスタ歩ける謎の耐久度。そして、そもそも、結構序盤からちょっと常軌を逸したレベルで投入される敵兵士の数が気になっていた。

 舞台設定はちょっと無茶だが(どんな規模だろうと砂嵐一発で隔絶された状況になるドバイというのを、ドバイを知らない俺には想像出来ない)、それ以外はリアルであろうと作られている分、アホみたいな兵の数が気になっていたのだ。大隊=1000人規模の総力を、たった3人のデルタに投入してくるとか、どんな指揮官なのよ、ローカストかよ。

 物語の中盤付近から、明らかに幻覚のシーンが混ざり始める。最初は戦争状況による異常が見せる意識混濁かと思っていたのだが、終盤は明らかに幻覚めいた異常な描写が多くなる。コンラッドは、ウォーカーの精神が壊れた分岐点を、迫撃砲のシーンとしているが、先に挙げた点も考慮していると、果たしてどこからが幻覚だったのどんどん曖昧な気がしてくる。

 いずれにせよ、ウォーカーの運命には苦い結末以外なく、その道筋以外の選択肢を用意しなかった=プレイヤーに問答無用の一線を越えさせた制作には是非、「なんて酷いやつらだ!」という賞賛を送りたい。

 

凡作シューターであることに納得してしまう

 緩急も程々に発生する戦闘の連続によって、ゲームプレイは単調になっていくが、その単調さは、戦争状況の連続に気持ちが麻痺していくことと近いようにも思う。

 そう思えば、TPSとして欠点を抱えた構造であることにも合点がいってくる。TPSじゃなく、TPSのシステムを使ったアドベンチャーゲーム

 もし本作が、TPSとして純粋に、滅茶苦茶楽しかったら?ウォーカーの「俺のせいじゃない」というセリフが白々しくなってしまったのではなかろうか。

 本作の場合、TPSとして抜きん出ている訳ではないため、ゲームプレイに単調さを抱えてしまっている反面、救おうと、生き延びようと戦闘に身を投じ、挙句、心を壊し、自分に言い訳しながら地獄に辿り着くしかなかったウォーカー大尉に味わいを与えているのかも知れない。

 まぁ、それを持ってしてTPSとして凡作であることを肯定したい訳ではない。こんな風に考えることも出来るよな、ってことで。

 

何も知らずに間違えてプレイしたかった

 先日も少し書いたが、どんなゲームか、何も知らず、よくある戦争ゲームでもやってみるか!と言うような軽い気持ちでプレイしたかった。

 多少知っていても充分に衝撃ある展開だったのに、CoDシリーズなどを遊ぶつもりで手に取った時はどんな威力でこのパンチを食らったのか・・・

 躊躇のないグロい描写も多々あり、物語も解釈の余地が多く残るような曖昧さのある仕上がりだが、刺さるゲームを遊んでみたい人でまだやってない人は試してみて欲しい。その場合、難易度はイージーでやると良いと思います。