ヨコズキゲーム’

ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

「アストロボット」感想

 あー、面白かった。

 「アストロボット」をクリアした。最早、探すべきロボットも、クリアすべきチャレンジも残っていない。それでも、時々再プレイしたくなるだろう。

 

 

クリア状況

www.youtube.com

 全ワールド、チャレンジクリア。トロフィーコンプ。

 

 

基本は、シンプルなアクション+VR

 アストロボットの操作はとてもシンプル

 スティックによる移動。パンチ(溜めで回転アタック)・ジャンプ(ジャンプ中にジャンプでホバー移動)。使うボタンは2個だけだ。ホバー時は足元からビームが出力され、これで敵に攻撃することも可能だ。レーザーは着地点を見るのにも便利で、遠近を計りにくい3D空間内でジャンプアクションをすることを簡単にしている(最高の仕様だ)。

 まず、3Dアクションとして、非常によく出来ている。操作は軽快。パンチで敵を倒すのは小気味いいし、ジャンプしない限り、地形の端から簡単に落ちてしまわないので、狭いところを走っていても、ほとんどストレスがない。

 ステージデザインは起伏に富み、景観のバリエーションは非常に豊富だ。都市、森、溶岩地帯、水中、空、遺跡、嵐、宇宙。ゴシックホラーのステージや、和風のステージまで用意されている。もう足りないのは、雪山くらいじゃないのかこれ(逆に典型的な雪山ステージを外した理由が知りたいところだ)。

 単純に3Dアクションとしてよく出来ているところに、VRの臨場感が加わる。よく出来た景観は見ているだけで楽しい。ビルを見上げ、生い茂る草木を眺め、水中や嵐などの苛烈な状況をまるでそこにいるかのように体験するのは、VRとして一般的な楽しみの一つだろうが、驚くほどたくさんのバリエーションを体験することができる。

 とまぁ、こうしたことが本ゲームの面白さの大部分だ。しかし、このゲームの肝は「視点」にあると感じた。

 

 

三人称視点であり、一人称視点

 ゲームが始まると、画面にPSコントローラーが表示され、コントローラーの位置同期を促される。同期すると、画面上のPSコントローラーが可変する。まるで手元のコントローラーが変形したかのように感じられる。オープニングでは、エイリアンの襲撃でボロボロになったボットをコントローラーに回収。元気になったボットと、冒険の旅に出ることになる。

 この流れで、プレイヤーは自然にゲーム内世界の一員としての立ち位置を獲得する。

 細かいことはさっぱりわからないが、プレイヤーはコントローラーを持ったカメラそのものとしてゲーム内にいる。ゲーム内のモニターなどで確認すると、プレイヤーもロボットらしい。つまり、「三人称視点のアクションゲーム」に見えるこのゲームは同時に「一人称視点のゲーム」なのだ。

 このことはこのゲームに様々な「良さ」をもたらしている。

 

 

一人称視点だからVR空間は迫力満点だ

 一人称視点であることは、VR空間の堪能につながっている。よく練られ景観の楽しいステージデザインに没入できる。ボットや敵のかわいらしい動きを動くフィギュアのように楽しめる。ボス戦では巨大なボスの迫力に圧倒される。

 しかし、それだけではない。プレイヤーは「カメラというキャラクター」としてゲーム内に存在する。敵は、ボットだけではなく、プレイヤーも狙ってくる。カメラに向けてガムで視界を塞ぎ、ボールを飛ばしてきてカメラに衝撃を加える。しかし、プレイヤーはただのカメラでもない。ゲーム内にいるキャラクターだ。だから、頭を振ってガムを回避できるし、飛んできたボールをヘディングで打ち返したり、遮蔽物を頭突きで叩き割ることができるのだ。

 ついでに、3Dアクションゲームでカメラに水滴がかかったりして臨場感を得つつ「で、このカメラである俺は誰やのん」などと疑問が生じる瞬間があるが、本ゲームでそういう疑問は発生しないのも地味に関心する。

 一人称視点による観察も、ゲームプレイとして活きている。レスキューを待つ仲間ボットたちを見まわして探す、少し先のルートを覗き込んで確認する、隠れたカメレオンを見つけ出す。本作での視点位置はリニアなもので、位置取りが自由にならない制限が時々邪魔くさいものの(一度コースを行き過ぎてしまった場合、視点を戻して確認しにいくことができず、コースをやり直すしかない)、それがゆえに、プレイヤー自身が頭を動かして視点を変え、探索する楽しみが強調されている。

 

 

三人称視点だから派手な冒険も酔わずに楽しめる

 三人称視点は、ボットというかわいらしい(時々憎らしい)キャラクターを操縦する楽しさに満ちている。三人称視点で、派手なアクションをしてもカメラがガサガサと動き回るということない。軽快なジャンプアクション、起伏に満ちたアトラクションを、酔いに悩まされずに楽しめる。

 高速のトロッコレースで目まぐるしくコースを飛び移ろうと、足場が溶岩に落下する灼熱地帯を走り抜けようと、嵐の中、雷雲から雷雲へ飛び回ろうと、VR酔いをすることはなく、臨場感あふれるステージの中でアクションを楽しむことができた。

 また、ボス戦大好きマンとしても、本ゲームのボス戦は満点の出来。見上げるほど巨大なボスを相手にするボス戦は、地形が変化するほど派手だが、プレイヤーの視点は安定しているので酔うことがない。しかし、主立って戦う小さなボットは巨大なボスに大忙し。地形に振り回されながらも、ボスを、プレイヤーとの協力によって撃破するのは快感がある。

 

 

一人称視点と三人称視点が交錯することで

 一人称視点での遊び、三人称視点での遊びは、それぞれ、個別には他のゲームであったことだ。しかし、それが同時並行で混ざり合わさって展開するのが、本作の大きな特徴だ。

 プレイヤーの使うコントローラーは、換装することで様々なガジェットとして活用できる。ワイヤーウインチ、ウォーターガン、手裏剣、ガトリングガン…。あたかも実際にコントローラーが変形したように感じるのも楽しいが、それを使ってボットの道を切り開きつつ、ボットの操縦もこなす必要があるのは、新鮮なプレイ感覚を伴う。手裏剣を壁に撃ちこみ足場を作りながら、ボットで手裏剣足場を飛び移っていく。熱い鉄板をウォーターガンで冷やしつつ、鉄板がまた熱くなる前に鉄板を走って渡りきる。ゲームが進むと、こうした2つの操作を要求される場面が、徐々に増えていく。

 ガジェットの使わせ方もアイデア豊富でふるっている。ウインチ一つとっても、綱を張ってキャラを渡らせる、コントローラーを上下させ綱の高さを変える、壁のフックに引っ掛けて壁をひっくり返す…と複数の使用方法がある。というか、一種の用途にしか使えないのはガトリングガンくらいだ。当然、ガジェットはボス戦でも大活躍で、そこでも少し違った使い方をするケースがあり、クリアするたびに「すげえな…」と唸らされた。

 こうしてガジェットを活用しながら、ボットの道を切り開いていくうち、ボットとの間に奇妙な感覚が芽生えてくる。「共闘している」感覚。自分で操作するアバターにキャラクター性を感じた上で、ゲーム内に自分も入りこみ、そのキャラクターと共闘している気持ちになるのだ。自分が張ったワイヤーをボットに渡らせながら「がんばれ」とボットを応援してしまう。ボス戦で、ボットで攻撃を回避、ガジェットで隙を作り、ボットでトドメを刺すという動きを通して、コンビネーションを発揮している気持ちになる。三人称視点でのアクションがメインなのに、そのアクションを通してVRキャラへの感情移入まで発生するとは*1

 終盤のバトル・展開はそうした感覚に応えてくれるもので、この形式だからこその内容だと思える。物語はほとんどない本作だが、ラストバトルの構成、展開は本当に素晴らしく、これまでの体験が物語になる演出にはグッと来た。

 自分は、ゲーム特有の物語体験に強く惹かれる傾向がある。本作は、体験のバラエティーを重視しており、ストーリーは冒頭とラストにちょこっとあるだけだ。しかし、その少しの物語が、充実したゲームプレイを物語として感じさせてくれたので、満足度は非常に高かった。

 

 

多数のアイデアがギッシリ詰まった傑作

 これまでの3Dアクションが積んできたアイデアを、VRと組み合わせて再構築、それがまた丁度いいバランスで豪華に詰まっている。最高のデラックス幕の内。

 序盤の感想でも少し書いたように、既存の3Dアクションの文脈でよく出来ているということが本ゲームの大きな美点でもあるので「めちゃくちゃ面白いけど、VRゲームとしての極点がこれでいいのか?」という余計な疑問を感じた時もあったが、終わってから振り返ると、VRの特性を馴染ませ、柔軟に活かしているからこそ、本ゲームは面白いと思える。

 本作に足りないと思える要素は「BGMのバリエーションがもう少しほしい」ってのと「キャラクター性が少し寂しい」くらいだ。共闘感を覚えるまで、バディとして身近に感じるボットだが、何を考え、どういう性格をしているかは、よくわからない。コミュニケーションもコントローラーで小突くくらいしか出来ない。歯ごたえのあるチャレンジを突破した時は、無意識にボットを見てピースサインを出してしまうくらいなのだから、もう少しボットがどんなキャラかわかるような演出があったらな、と思ってしまった。あるいは、もっとこちら側からもボットにコミュニケーションを取れたら…。そりゃ、3Dアクションゲームに求めるものじゃないだろう、VRキャラコミュニケーションゲームやれ、と自分でも思う。VR版「OneShot」の登場が待たれるな。

 このゲームができるのだから、PSVRを買って良かった。VIVEやOculusじゃなくてPSVRでよかった。そもそも買うお金ないけど。

 

 

 

今日は以上。

*1: 第四の壁の向こう側で、自分が操作するキャラクターへ感情移入するという……自分じゃない独立したキャラクターだ、という演出はほぼないのに。VRゲームではポピュラーなことなんだろか