ヨコズキゲーム’

ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

「レイジングループ」感想 ※ちょいネタバレ

 「レイジングループ」をクリアしたので今日はその感想。

 過度のネタバレ抑え目で書いたが、本作は、なんの事前情報もなく遊んだ方が楽しいと思うので、注意。

 

 

クリア状況

 Switch版でプレイ。隠しモードを含む全シナリオを読破。

 プレイ時間30時間程度。

youtu.be

 

 

評判通りの傑作

 SNSを始めとして、色んなところで評判は耳目していたので、いつかやろうと思っていたが、友人から強烈にプッシュされたのもあって、プレイ開始。

 評判通り、完成度、熱量ともに素晴らしいものだった。

 テキスト描写でもグロは絶対ダメとか、フェアで普通のミステリーが読みたいだとか、主人公は等身大でないと!とか、そういう人以外ならフックすると思う。

 既に十分色んな人が感想を書いていると思うが、そのことは一旦忘れて書く。

 あと、色んな環境で遊べるので、場末の感想文を読むぐらいなら、是非遊んでしまって欲しい。収録要素に差があるので、スマホ版"以外"がオススメ。

 以下、ちょいネタバレがあるので、念のため改行。

 

 

 

 

 

 

 

人狼要素を中心に盛り盛り

 まずは概要。

 「汝は人狼なりや?」=通称人狼ゲーム」の要素を含むノベルADV。バイク事故のため、田舎の山村に身を寄せた主人公:房石陽明は、奇妙な閉鎖状況の中、人狼ゲームにも似た因習に関わり、"死にまくり"ながら脱出を計る。そう、"死にまくり"ながら。タイトルにもある通り「ループ物」でもあるのだ。

 正直、プレイ前は「デスゲームとか心理戦とか、そういうのは食傷気味だ…」と思っていた(だから評判を知りつつなかなかプレイしなかったんだけど…)。が、そんなプレイ前の印象を蹴散らすほど、本作は多数の要素がてんこもりに積まれている。

 なにせ、人狼ゲーム風なデスゲームを勝ち抜くのは、本作の目的ではない。問題は、デスゲームを強要している環境そのものであり、ループする状態そのものなのだ。なぜ村人はデスゲームを行うのか。デスゲームはなぜ、どうやって成立しているのか。ただ生き延びるだけではなく、環境自体に潜む謎を解き明かさねばならない。単なる心理戦、舌戦だけの内容ではなく、本作は、舞台となる山村に潜む数々の謎自体に挑む伝奇ミステリーの構造を持ち、さらに……それだけに収まらない。

 

 

とにかくテキストがうまい

 ノベルADVを遊ぶ場合、どれだけ早く作品のテキストに馴染めるか、ということは結構大事な要素だと思う。名作と言われるノベルADVは多数があるが、最初からすんなり作品に入っていける作品はそう多くない。大抵、キャラクターに慣れてしまえば、問題なく読み進めれるものの、そこまでのから騒ぎがきついということは、ままある。

 その点、本作はスルッと読み始めることができた。テンポが良く、サクサクと進む。キャラクターは濃いが、長々しいテキストなどは控えめで、多少の異常事態にも、主人公が地の文でクドクドひっかかるということはない。展開のスピード重視で話が進む。

 「宴」と呼ばれる人狼ゲームパートも非常にうまい。宴では、多数の人間が入り乱れて会話する。しかも、集団内でのポジション、人狼ゲームにおけるロール、感情、論理的思考と、多数のベクトルからの発言が交錯して、非常にややこしい。しかし、ポイントポイントでサラッと整理整頓ななされるため、混乱が最小限に抑えられている(主人公が非常に賢いのも有効に働いている)。

 

 

トリッキーで大胆

 ノベルADVと言えば、濃いキャラクター(ということになってる気がする)。本作も濃いキャラクターがたくさん登場するが、賑やかしのために属性を積んだようなキャラはおらず、背景ありきでキャラが汲み上げられているのが非常に好印象。捨てキャラはほぼおらず、ほとんどの登場人物に役割がある。ちなみに自分は、房石、李花子、清之介が好きです。

 構成も素晴らしい。本作は基本的に一本道。しかし、諸々の工夫で、一直線に進んでいる感覚は薄い。終盤に一部、一本道でない場面があるのも、そうした感覚を補強している。多数の分岐世界を体験出来つつも、実は一本道という構成は、「シュタゲ以降」を強く感じる構成だ。そこから、少しはみ出しているのも面白い。

 あと、これケムコのADVでは、定番らしいが、エンディング後の特殊モードが、かなり楽しい。普通に読んでいても、緻密に会話が組まれているのがわかるのだが、やっぱり各人の動きが綿密に計算されていたと可視化されるのは、他のノベルゲームでは得られない特殊な感動で、満足度が非常に高かった。心理戦との相性も非常に良い。

 そして、小さな集落でのデスゲームは、壮大な展開に結びついている。極端に広がった大風呂敷に「これどうすんだ?!」「ハッタリか?!」と思わされたが、科学も論理もオカルトも全部ぶちこんで、ちゃんと解決してしまうのは、見事な幕引きだった。

 唯一、気になったのは、本編で明らかにならない謎や、世界観を共有する「D.M.L.C」のネタを入れこんでいるところだが、前者は、おまけモードで綺麗に説明されるし、後者は、全体の充実度を見ると、余白として楽しめる範疇ぐらいに思える。ボイスは棒読み気味だったが、ほんの数分で慣れて、あとはほとんど気にならなかったしなー(むしろ誇張し過ぎないトーンが作風に合っていると思う)。

 名作ノベルADVの要素がたくさん入っており、しかも、おまけ群では、ファンサービスしつつも、のびのびと世界を広げてみせる。ついでに言えば、チュートリアルも非常に丁寧で、しかも読み物として楽しい仕上がりになっているのも感心する。

 

 

まずは遊んでみてほしい

 つらつら書いたが、最初に書いたように、まずは遊んでみて欲しい。

 癖はあるが、魅力的なキャラクターが揃い、疑心暗鬼の心理戦を楽しむうち、彼岸まで連れていかれ、最終的にはちょっとズレた日常に着地させてくれる。

 デスゲーム、グロ、狂気、マスコット、ループ、ミステリ、恋愛、宗教、神話、オカルト、伝奇…様々な要素が蛇足になることなく、確かな筆力は圧倒的なボリュームをあっという間に読ませてくれる。

 ノベルゲーやろっかな?という時は是非どうぞ。

 

 

 

今日は以上。