ヨコズキゲーム’

ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

「The friend of ISHIKAWA RINGO」

 さくっと「The friend of ISHIKAWA RINGO」をクリア。

 ロシアと、「くにおシリーズ」を含むツッパリ文化がぶつかって生まれた異形の青春ゲーム。

  若干、プレイ回想っぽい感想。ほわっとネタバレ有。

 

プレイ状況

 クリアまで約10時間。ゲーム内日数約50日。

 HPとレベルは上限まで。勉強全教科マックス。

youtu.be

 

 

80年代ツッパリ生活だぜ

 くにおライクな見た目で、80年代の町を舞台に暴れ…回ったりも出来るゲーム。

 時間経過の概念、空腹度、睡眠が必要と、シミュレーター的な要素も入っており、プレイヤーは、主人公である石河倫吾を操作して、80年代不良学生の日常を過ごす。

 キャラの挙動は非常に細かく、椅子に座る、ベランダにもたれかかる、煙草を吸うなどの動作を任意に行うことが出来る。ダラダラと過ごすための絵が豊富。

 バトル操作はシンプル。しかし、ガード、スウェーなどの動作が織り交ぜられたアニメーションによって「らしい」喧嘩アクションを演出してくれている。

 ニンテンドーDSライクなグラフィックは解像度は低いがとてもよく出来ている。とてもロシア人開発者の父親が60歳を越えてからpaintで描いたとは思えない出来。日本らしい情景がきちんと描き込まれている。

 

 

勉学に励み、読書に没頭するぜ

 見た感じ「くにおくん」シリーズを想像させられる。どうしたってさせられる。

 確かに「くにお」めいた乱闘も可能だが。下手に大人数に喧嘩を売るとあっという間にのされる。負けると半日ほど昏倒、所持金や経験値を失うことはないものの、時間が吹っ飛ぶ。時間制限が提示されているわけではないが、なんとなく焦る。

 バトル自体、アニメーション・レスポンスはよく出来ているが、爽快感は薄い。ガードしても一定確率でガードを破られ殴られ、こちらは一人しか殴れないのに、敵は一斉に殴ってくるため、無傷で圧倒的に勝利するのは難しい。というか、割とすぐ負ける。

 というわけで、すぐに無駄に喧嘩をするのはやめることになる。

 とりあえず、パラメータを上げることが出来る施設らしいものがそこかしこにあるので、片っ端から訪ねていくことにするが、どこも会話が少し出来るだけ。お金がかかるからと断られたり、相手にされなかったりして鍛えられない。

 最終的に辿り着くのは公園の鉄棒。お金がかからないっていいね。ここでHPを地道に上げる。

 一方、学生の本分である勉学に励むことは容易。机にかじりついて勉強すれば、喧嘩よりはるかに手堅くパラメータが上がっていく。

 更に、学校の図書館で読書が出来ることを発見する。英題の本の中から闇雲に読書してみる。

 ベンチに座っている時にガード(Rボタン)で、手持ちの本も読めることに気付く。煙草も切れたし(所持数が表示されないが使用数に限界があり買い足さない限り吸えなくなる)、授業のない時間は読書して過ごすようになる。

 教室では、オタクの男子や、読書家の女子が主な話相手だ。

 気づけば全く喧嘩をしなくなる。これは一体……。

 

 

ちゃんと身体も鍛えるぜ

 主人公倫吾は食事をしなくても生きていけるし、睡眠も一日4~5時間くらい寝れば平気らしい。喧嘩はそれなりだけど生物としてのスペックが高すぎる。

 喧嘩して負けるのも癪に障る。逆に、勉強も読書も、わかりやすく数字が積みあがるので、頑張る気になる。テストの成績が優秀だと、週一で奨学金1万円がもらえるのもでかい。いくら80年代だからって、時給500円でアルバイトするのなんて真っ平ごめんだ。そんな時間があるなら読書するよ俺は。図書館の本を読んでたら速読の神髄に至ったらしく、読書速度が上がって勉強効率が上がった。ポテンシャルのお化けかよ。

 この頃の一日のスケジュール

  • 1時:就寝
  • 6時:起床
  • 7時:公園で懸垂+読書
  • 8時半:登校してクラスメイトと会話
  • 9時:授業
  • 11時:昼休みに女子と談笑
  • 12時:授業
  • 14時:仲間と合流して各所を探索
  • 18時~20時:帰宅したら仲間に囲まれながら勉強
  • 1時:就寝。

 この生活は不良じゃない。

 このままじゃリーゼントが泣く、と思っていたところ、喧嘩に負けた主人公を助けてくれた整備士に、蹴り技を教えてもらえることになった。不良というより、シェンムーみたいになった。

 更に、いくら頼んでも通わせてくれなかったジムトレーナーが資金繰りに悩んでついにトレーニングをしてくれると快諾。

 ようやく喧嘩で勝てる身体づくりが出来るようになった。

 

 

喧嘩するメリットが見えないぜ

 トレーニングできるようになったことで、勉学に加え、トレーニングに励む生活をすることになる。

 喧嘩は滅多にしないので、仲間を連れ歩く必要がなくなり、友人たちと徐々に疎遠になっていく。健は喧嘩でボクシング選手としての道筋が揺らぐ。吾郎は趣味を持てと言われて演劇を始めた。四郎はよくわからんけど女子をとっかえひっかえしてるのか??将はいつでもフリーな様子だが……正直、連れ歩く気になれない。

 一方、勉強して成績が上がったせいか、愛子から勉強を教えてくれと声がかかる。お泊りコースな時間帯に勉強を教えてもらいに来るので、気があるに違いないと思うが、我らが倫吾は硬派なツッパリなので手を出さない(出せよ)。……倫吾の内面が見えない。一体何を考えて狂気の勉強トレーニングマンをしているのか。男は黙ってなんとやらか。

 ボクシングを真面目にやらなくなった健の代わりなのか、ボクシングジムでも相手してもらえるようになったので、更にトレーニングに身が入る。

 気づけば殴り技・足技をマスターし、勉強も100%に到達。投げ技はどうでもいい。もうやれることが読書と小論文しかない。原子物理に関係する論文を書く不良。一体どういう存在なんだ。

 卓球やビリヤードなどのらしい遊戯も発見したものの、正直、そんなに面白くもなく。読書のページ数が上がっていくのを眺めるのも、楽しくはないが何かしている気にはなる。倫吾、お前はどこに向かっているんだ。

 喧嘩?たまに絡みに行って殴る蹴るするが、こっちの体力は999ある。よっぽどの人数でもない限り、負ける気がしない。レベル?あっという間にカンストしたよ。

 ゲームが、続く日々が、倫吾の行動を小論文に集中させていく。いや、だから、不良のゲームじゃないのかこれ。

 

 

突然、全部が終わったぜ…

 そしてある日、突然全部が終わる。

 いつの間にか出来ていた友人たちとの距離。それぞれにやりたいことを見つけ、やるべきことを考え、こちらがつるみたくとも、つるめなくなっていってることには気付いていた。アホの将以外は。その将は…アレ過ぎた。

 健に大人になれよと諭される。健、悪いが、俺の倫吾は多分、お前たちの中で一番大人なはずだ。喧嘩するよりも勉強して、小論文も書いていた。2つ目の論文はまだ完成してなかったけれど。目的もなく出来る事じゃない。操作する俺にはわからんが何らかの目的があったはずなんだ。あってくれ。多分、大学にだって行ける。なんにしたって常軌を逸した体力で睡眠時間を削って積み上げた勉強と読書は裏切らない気がする。女子と付き合えなかったのは惜しいけど、倫吾は興味が持てなかったんだからしょうがない。

 正直、ラストの展開は苦々しかった。倫吾が送ったツッパリ生活は、ツッパリとは縁遠い、勉強とトレーニングに満ちた生活だ。それでも、倫吾はツッパリとしてのケジメをつけに行った。何故、どんな気持ちで行ったんだろうか。

 

 本ゲームのタイトルは「The friend of ISHIKAWA RINGO」。倫吾の友人。友人って誰のことだろう。みんなから去った。みんな去っていった。俺が友人なんだろうか?さっきも書いたけれど、俺は倫吾のことがよくわからない。狂ったよう勉強してトレーニングしていたけど、何を思って日々を過ごしていたのか。色んな想像が頭をめぐる。

 スタッフロールを眺めながら、その後の倫吾を想像してみた。どうにでもなっているような気がした。でもなんとなくリーゼントではない気がする。

 

 

去るものの美学

 80年代をよく表現したグラフィック。芝居の細かいアニメーション(ジムでの縄跳びとか感動物)。

 テキストはどれも不良とも学生とも思えない重さでどっしりと迫ってくる。健も四郎も、内容はともかく語り口に知性が光り過ぎてる。愛子、四郎が紹介してくれた子、どっちもほぼ文学の住人だよ。

 フリー音源を多用したBGM選曲チョイスも良く統一感がある。半端ない哀愁に包まれている。

 喧嘩、煙草、うんこ座り、カツアゲ、賭け事、色恋…ツッパリ的な要素の丁寧な描写は不良文化への愛情を感じる。しかし、描き出されるのは「不良の終わり」という、やがて去るものの美学を感じさせられた。

 良い余韻を持つ、すごく変なゲームで、良かった。

 

 

 

今日は以上。