ヨコズキゲーム’

ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

「The Wonderful 101: Remastered」感想

 小説をもりもり読んだりしていました。

 「荒潮」「アノニマス5巻」面白かった…。

 先日、4歳になった娘が「あつ森」のおかげでひらがな・カタカナをほぼ覚え、昆虫や花の名前もどんどん覚えている。娘が3歳の時点から、ドラクエの敵モンスターの名前も覚えたりしていたんだけど(ほぼドラクエウォークのせい)、あつ森の場合、現実でフィードバックできる要素が多くて影響範囲が広い。散歩しながらドラクエ3のフィールドBGMを鼻ずさみ、蝶を見て「あ!アオスジアゲハ!」と喜ぶ。昨日は博物館で隕石を見て、隕石によって滅びる恐竜たちのCG動画を音声検索して見たりしてた。未来だ…。

 あとはよく覚えてません。

 

 

The Wonderful 101: Remastered」感想

 WiiUでリリースされた「The Wonderful 101」のHDリマスター作品

 クラウドファンディングでのバッカー特典によって、少し早めに、PS4proでプレイ。

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 再プレイだし、WiiU版より気軽に遊ぼう!ということでイージーでプレイしたが、オリジナル版を遊んだ時の感想を見たら、その時もイージーで遊んでるじゃないか。今回はノーマルでもクリアするぞ。

 

 

やっぱり骨太

 かなり素直なHDリマスターなので、基本的な感想は以前WiiU版で書いた感想と変わらない。

 コミカルな外見、集団を動かして戦うゲームだが、操作感はゴリゴリのスラッシュアクション。タッチパネルorスティックで図形を描くことで、ユナイトモーフ(=武器チェンジ)を行い、強敵をボコボコにする(ボコボコにされる)ゲームだ。

 図形を描く際は時間がスローになるので、比較的落ち着いてやれるが、逆に言えば図形を描いていないときはかなり激しめ。見下ろし視点であることや、操作キャラクターが集団であることなどが影響し、慣れるまでは視認性が悪いと感じることもある。

 更に、ユナイトモーフによる武器チェンジは、大きく図形を描くほど強力なものが作成できるがゲージによる制限がある。ゲージはガードなどにも使用するため、考えなしにでかい図形を連発していると、肝心な時にガードや回避がうまくできないなんてこともあり得る。

 ゲージ制限がある分、敵に強力な攻撃を叩き込めば、一気に敵を撃破できるようになっている。ガードカウンターでよろけた敵に、巨大なユナイトを叩き込む快感はたまらないものがある。ベヨネッタは「とにかく攻撃し続けながら回避するゲーム」という手触りだが、こちらは「敵と状況に合わせて、的確にリソースを使って敵の隙を作り、強力な攻撃を叩き込むことで一気に敵を撃滅する」という感じで趣が違う。

 ベヨネッタやオートマタなどのスラッシュアクションに慣れていると、似ているところもある分、差に「癖が強え」と感じるかも知れないが、こなれるほど一気に敵を撃破するのが楽しくなってくる仕上がりになっている。

 

 

リマスターなところ

 まず、モニター+ゲームパッドの2画面があったWiiU版と違い、リマスター版ではモニター1画面しかない機種への対応となっている。そのため、ゲームパッド画面に表示していた内容は、ゲーム内にサブモニターを表示できるようにすることで強引に解決している。サブモニターは表示サイズ・表示形式を微細に調整が出来るため「完璧!」と言えないまでも、常時サブモニターを見なければならないゲームでもないので、慣れで全然問題なくなるレベルに仕上がっている。

 ゲームパッド画面にタッチペンで描いていた図形は、スティックで問題なく描ける。相変わらず、一部似た図形の判定で難を残している(クローとウィップとか)が、それを含めても、WiiU版よりかなりストレスが減った印象。なお、PS4版では、コントローラーのタッチセンサーで図形を描くことも可能だが、図形の大小をコントロールするのは厳しそうだったので早々に使用を諦めてしまった。

 パッと見てわかるところでは、解像度が上がったことで、チマチマしたヒーローたちが個別に細かく視認できるようになっているのが嬉しい。「群体」として認識するだけでなく、個別にも動いて奮闘するヒーローたちが見えるため「集団」で団結して戦っているという感覚は少し増した気がする。

 あとは、マルチユナイトなどがショップ販売されており、オリジナル版ではスルーしてしまいがちな仕様を見落とすことがなくなった。追加でショップ購入を要求される点は真顔になるが、印象が強まるし、チュートリアルを追加するより、スマートな変更だと感心した。

 各種ミニゲームもグッと難易度が下がった……気がする。少なくとも弾が当てづらいとか、回避しづらいという印象はかなり控えめになった。ミニゲーム中の操作もすぐ見返せるので、勢いのある展開に大きく水を差す場面はほぼなくなった。

 

 

ぎゅう詰め

 お話はシンプルで、80年代アニメのような王道展開だが、それが多段式ロケットの如くどんどん爆発加速していくのが心地いい。わずか7年ほどで古びて感じられる部分もあるがそれはごく一部。この詰込み具合は、今でもなかなかお目にかかれない。

 BGMもすこぶる良い。ボス戦でワンダフル・フィニッシュがかかった時、勝利を確信して描くライナーの気持ちいいことったらない。

 「WiiU版、結局やりそびれたまんまなんだよな~」という人や「明るく激しいアクションゲームがやりたい!」なんて人は、是非遊んでみて欲しい。癖はあるけど、ぎゅう詰めで、全力でふざけて、全力で熱いアクションゲームなので。

 

 

 

今日は以上。

「サブノーティカ」「OuterWilds」感想

 深海に潜ったり、宇宙をさまよったりしていました。

 今日はその感想。

 

 

 

「サブノーティカ」感想

 PS4proでプレイ。プレイ時間、25時間くらい。

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 宇宙船の事故により、水に包まれた惑星に不時着してしまう主人公。惑星脱出の手段を求め、深海を冒険するゲームサブノーティカ

 すこし前にリリースされた深世海と要素は似ているが、あちらはメトロイドヴァニアタイプのアクション、こちらは、主観視点のADV。PC版はVR対応かつ美麗だが、PS4版はうまく最適化が出来なかったのか、マップ欠けやフレームレート低下がちょくちょく発生し、没入感を邪魔しているものの、それでも面白かった。

 基本は、素材を集め、脱出に役立つ便利グッズや、拠点を作成していくことになる。孤独に、惑星脱出のため奮戦するゲームプレイは、火星の人(オデッセイ)の深海版という趣がある。あちらと違ってジャガイモや化学式と格闘せず、謎技術ファブリケーターでバンバン開発していけてズルだが、かと言って、未知の生物がうようよする海は全く楽ではない。

 本作には敵対するような生物も登場するが、積極的な攻撃はほとんどできない。海草を切るくらいにしか使えないナイフと、要求素材が異常にきつい魚雷しか武器がないからだ。はっきり言ってまともに戦うことは出来ない。見つからないよう回避するように探索する必要がある。くわえて、移動には酸素や電力が必要になり、それらのリソース管理もかなり重要。これらの要素が探索に適度な緊張感を生み、戦って勝つ「征服の快感」ではない、過酷な環境で生き延びる「サバイバル感」に貢献している。逃走ばかりではストレスが溜まりそうなものだが、安全圏に作った基地は癒しとなり、平和な海棲生物とのコミュニケーションは、強敵を打破するのとはまた別の快感を与えてくれるので全く問題がない。好奇心をくすぐる生物のデザインや、環境デザインも秀逸で、十分に探索の動機になる。

 未知の領域へ進むと、水の色が変わり、見知らぬ生き物が視界に入ってくる。浅い層はカラフルで美しいが、深い領域は太陽の光も届かず、どのくらい広く深いのか見当もつかないエリアへ進む時のは勇気がいる。深海で未知の生き物に襲われる場面はほぼホラーゲームだ。

 探索の中、宇宙船の残骸から設計図をスキャン、徐々に色んな物が作れるようになっていく。スキャンオブジェクトを発見出来るペースと、クラフトの増え方も絶妙で、あっちは何があるんだろう?こっちはどうだ?と海底をうろうろしてるうちに遊び終われた。新たな移動装置をクラフトした際に広がる行動範囲もダイナミックで、後半にいくほど加速していくペース配分も好印象だ。

 ストーリー的な流れもそれなりにあり、宇宙船事故の原因や、生き残りの探索を通じて、徐々に惑星に存在した先史文明の謎を追っていくことになる。多くの海外ゲームで採用されている、残されたデータを取得していくことで、徐々に色んなことが判明していくスタイルを採用しているが、落ちている場所がわかりやすく、数もめちゃくちゃに多いわけではないため、集めるのも苦痛ではない。要所では派手目のスクリプトイベントもある。全体で3か所4か所くらいの抑えたトーンだが、それでも体験として、とても楽しいものに仕上げている。特に、先史文明の施設で「なんだこれ?」と気軽に触った装置に表示された結果を見た時は、かなり驚かされたし、バイオショックでエリザベスの能力に息を飲んだ時に近い、その世界で愕然とする感覚が味わえた。

 惑星脱出直前、これから探索するであろう他プレイヤーにエールを送るときは、これまでの探索を振り返り、メロンの種をたくさん入れた。ここを読んだ人には、海底火山の近所に基地を立てて、水ろ過装置を置くと二度と水分補給に悩まされることがなくなると伝えたい。作れるようになるの後半だけど、水ろ過装置のもたらす心の余裕は、とても染みた。

 一部、目当てのスキャンオブジェクトが見つからず、プレイ進行が停滞した場面もあったが(ムーンプール)、全体的にはかなり遊びやすかった。続編も非常に好評なようで、移植されたときは是非遊んでみたい。VR対応してないんだから、次はもう少し最適化されてると嬉しいな。

 

 

「OuterWilds」感想

 「サブノーティカ」は深海だったが、「OuterWilds」は宇宙を舞台に探索を行う冒険ADV。

 PS4proでプレイ。プレイ時間は15時間くらいか?わからん。

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 先史文明の謎を追うために宇宙船に乗り込み、先輩冒険者たちの後を追って冒険に出かけようとするが…という導入なのだが、正直、導入数分は牧歌的なゲーム内容を想像していた。いや、全くどういうゲームか調べず「森の中で楽器を弾く宇宙服」というビジュアルの良さだけで買ったから中身を知らなかっただけじゃない。本当にのんびりしたやさしい空気で始まる。

 しかし、舞台となる銀河は、強烈な環境であり、しかも20分間後、超新星爆発により滅びる。そして、気付けば22分前に戻っている。

 そう、このゲームはループ物だ。

 一人称で遊ぶ宇宙ムジュラの仮面だ。

 22分後に爆発してしまう太陽。なぜ太陽は爆発するのか?なぜ主人公はループしてしまうようになったのか。銀河に浮かぶ各惑星に旅立った先輩冒険者たちの目にした物とは?そうした数々の謎を、22分の大冒険を繰り返すことで、少しずつ解き明かしていくゲームとなっている。

 宇宙は過酷だ。22分持たずに死にまくる。酸素がなくなれば死ぬ。加速しすぎた状態で何かにぶち当たれば死ぬ。砂に埋もれて死ぬ。太陽の重力圏から逃げられずに死ぬ。宇宙船が爆発して死ぬ。間違えてワープした先から帰れず死ぬ。何をしていても超新星で死ぬ。全然牧歌的じゃない!旅立つ前ののんびりした風景にいれば、穏やかで心地よいBGMと共に、超新星を迎えることが出来る。それでも、どうしてもロケットで旅立ってしまうのだ。ばらの花ではなくゲームが進まないので。

 トレイラー動画を見ればわかるように、各惑星のビジュアル・ギミックは非常にダイナミック。水の惑星では、複数の竜巻が島を巻き上げており、竜巻圏内に入った島は成層圏まで吹っ飛ばされる(その後重力に従って落ちる)。砂の双子連星では、片方の砂がもう一方の惑星に砂時計の如く引き寄せられている。惑星中心部にブラックホールを抱えた惑星は、ブラックホールに耐え切れなくなった惑星が徐々に中心部に落ち込み続けている。これらダイナミックな環境をシームレスに移動可能で、しかも20分のタイムスケジュールに合わせて、各惑星の状況は刻一刻と変化していく。惑星の種類は然程多くないが、どれもが個性を放っており、これら惑星での冒険はまるでアトラクション。自分は「これだけでもプレイする価値がある」と思えたほどだ。

 本ゲームを制作したMobius Digitalは、俳優として有名なマシ・オカ氏が作ったスタジオ。マシ・オカ氏はIQ180以上ということで有名だが、あ、マジで賢いんだ…*1と思わせる科学的な要素が、ゲーム内の世界に程よく、時にぶっ飛んだ形で配置されているのも刺激的。SF作品として楽しめるだけの厚みを纏っている

 難点は、全体に操作が難しいということ。宇宙船の操作・キャラのブースター操作は、共に慣れるのに時間がかかるが、加えて重力が絡んで難しいことになっている。いや、慣性や重力の影響に納得感はある。あるんだが、ゲームとして操作しにくい+制限時間(超新星)まである中では「体験としての納得感」を「ゲームとしての遊びにくさ」が凌駕してしまう瞬間が時折発生してしまう。特に、砂の惑星深部に潜っていくところや、闇のイバラでアンコウにバレないよう移動する場面はきつかった。

 また、1ループは22分間となっているが、時間の進行を操作する要素がないため、特定のタイミングにしかアクセス出来ないエリアに挑戦する場合、ただ待つしかない。探索を始めるために、ループの度、5分も何もせず突っ立ってる俺の気持ち。

 あと、そもそも各惑星に散らばったヒントがあと半歩遠いのも気になった。特に、イバラにある船のヒントはもう少し親切でも良かったんじゃねえかな?!あそこでアンコウという生き物のことめちゃくちゃ嫌いになったよ!!

 そうした明白な欠点があってすら、体験としては破格で関係ないと思わせてくれる。

 辿り着くラストは難解過ぎるというか、正直ようわからんのだが、強烈にエモい。

 プレイし終わってからも、宇宙空間を旅する夢を見たり、ラストの一幕を自ら繰り返す夢を見るくらい、ゲーム中の体験が焼き付けられた。まぁ、ほぼ悪夢でしたけど。

 

 

 「サブノーティカ」「OuterWilds」

 どちらもいいゲーム、いい体験だった。未知なる世界に飛び込んでみたいと思う人は是日遊んでみて欲しい。

 

 

 

今日は以上。

*1: マシ・オカ氏が小島秀夫的なポジションで作ったものかはともかく自分のスタジオの作品としてこれをGOできるわけで

「ファイナルファンタジー7 REMAKE」感想 ※後半にネタバレあり

 前書きなし。

 「FINALFANTASY VII REMAKE」をクリアしたので、今日はその感想。

 

 

プレイ状況

 クリア時点で38時間。ハードはチャプター5までクリア。

 一応、全武器取得や隠しボスくらいはなんとかしとこうと思うので、まだもう少しやる予定…(サブノーティカの合間にくらいの感じで)。

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23年の月日で大変化

 オリジナル発売から経過した23年という月日で、リメイクという幅を超えてゲーム内容は大きく変わっている。変わった点をざっと書く。

  • ゲームが、コマンド式RPGから、アクションゲームにRPG要素を足したものに変化。
  • 当然、グラフィックは大幅に進化。アドベントチルドレンに近しいビジュアルでプレイが可能となっている。
  • 分作となり、今作では、ミッドガル脱出までが描かれる。
  • 追加の物語によってキャラクターの掘り下げが行われている。

 ほとんど別のゲームだが、一方で物語はおおむねオリジナルを踏襲している。

 

 

アクションアドベンチャーへと変わったがRPG要素も活かした作り

 本作は、コマンド式RPGから、アクションRPGへと大きく様変わりしている。リニアな進行は「アンチャーテッド」「トゥームレイダー」などを強く想起させる。オリジナル同様の物語を展開するにあたり、少なくともミッドガル内を描くのであればアクションゲーム(アクションアドベンチャー)の体裁は最適だったように思う。

 また、キングダムハーツ3のシステムを押し進めたバトルは、アクションの手応えがしっかりとあって、キングダムハーツ3と比べても遥かにアクションの感触が良い。攻撃した時のヒット感が強く、キャラ毎の差別化も好感触だ。

 

 かなりアクションゲームに寄った作りだが、RPG要素も活かされており、特に中盤以降は、マテリアの組み合わせや、攻撃手順が重要度を増していく。そもそも、ノーマル時点でも難易度が結構高く、雑に攻撃するだけでは、序盤からあっさり死ねるようになっている。その分「みやぶる」によって、HEAT状態やバーストを積極的に狙ったり、弱点を突くと大きなダメージが出るようになっている調整はやりがいに応えてくれるいい調整だ。

 ただ、アクションゲームとしての良さと、RPGらしさ、両方が贅沢に盛り付けられた結果、時に衝突を起こしている部分は看過しづらい。

 特に、一部の敵のスタン攻撃・拘束攻撃は食らってしまった後の対処方法がほぼない。レバガチャで解除できず、キャラを切り替えて邪魔をするしかない*1。アクションゲームの観点からは強烈にストレスが溜まるし、RPG的には対処が忙し過ぎる。拘束攻撃を使う敵に限って複数かつ、ちょろちょろ動き回るのもあって、今作のバトルで一番ギルティーな印象だ。

 他にも、咄嗟に回避不能な攻撃があったり(マシンガン系)、キングダムハーツ3と同じく、攻撃中の回避・ガード受付時間が短かったりするため、細かいストレスがある。あくまでRPGなのだからと割り切れればいいが、プレイフィールがアクションゲームなのだから、何とかならんのかと思わずにいられない。

 また、レベル上げやマテリアの育成が重要な癖に、任意でのレベル上げが出来ない画面も多すぎる。この内容なら、デビルメイクライのように、チャプターセレクトを最初から解放していればよかったのに。

 とまぁ、不満もあるが「なんちゃってアクションゲーム」みたいなところから、「FF15」「キングダムハーツ3」を経て、ついに「これはほぼアクションゲームでしょ」というレベルまで来たと思うと、感慨深い。次回作ではますますプレイフィールに期待が出来るレベルだった。

 

 

素晴らしいグラフィックと雰囲気を盛り上げるモブボイス

 グラフィックは全体的に素晴らしい出来。FF7をプレイ当時、ゲームをプレイしながら脳内で膨らませていた"以上"の映像を、あるいは「アドベントチルドレン」に近しい映像を、自分で動かせるという感動がある。

 もともとFF7自体、ファンタジーとSFのいいとこ取り・ごった煮だったが、グラフィックが大きく向上した結果、意味不明一歩手前の独特の雰囲気を醸し出している。ミッドガルプレート上ではスチームパンクと現代的な住宅街が混ざり、スラムでは、それらしい貧民街の景観に、西部劇なバーやド直球の日本語が挿入される。極めつけは、ウォールマーケットで「間違った日本」みたいな飲み屋と「建物が違えば文化が違って良い」というデザインルール(おそらく)の相乗効果で見応えのある景観が楽しめた。俺は一体どういう世界観のゲームをやっているのだ?と正気に戻る瞬間もあるが、むしろそのくらいごちゃ混ぜなのがFF7(という解釈)だったのだろう。

 グラフィック全般は美麗だが、全編万遍なく気合が入っているわけではなく、スラムのアパートや、プレートから見下ろすスラムなど、結構荒めに作られている箇所も散見される。おそらく、読み込み速度やフレームレートを優先した結果なのだろう。実際、描画はかなり軽い。同時に「何でも気合を入れすぎて完成が危ぶまれるより余程いい」と変な安心をしてしまった。我ながらどういう境地だ。

 ただ、そうやって、読み込みなどに気を使っていても、路地を通り抜ける箇所が要所要所に設けられており、おそらく、そこでローディングの調整をしていると思われる。この路地抜けは面白くともなんともないため、早くPS5が出て欲しいと思わされた。

 街中に関して言えば、グラフィックだけでなく、モブのボイスも雰囲気を盛り上げてくれる。「歩いている時に聞こえてくる誰のかの会話」もこれだけ大量にあると、生きた環境作りをする手法の一つになり得るのだなと思わされた。任意に話しかける必要がない分、プレイヤー的にも楽だし「世界がそこにある感触」に大きく貢献していたと思う。

 

 

誤魔化しの利かない世界で

 大きく向上したグラフィックにより、キャラクターたちは現実に近いビジュアルとなった。それにより、刺激的なビジュアル体験があり、またそれを操作する快感もある。

 しかし、一方で、誤魔化しが利かなくなり、オリジナル準拠の内容に、若干の無理が生じてしまっている。

 特に、エアリスとバレット関連は別ベクトルで気になった。

 エアリスの独特の喋り方は流石に許容するとしても、クラウドへの言動・行動の距離がいちいち近すぎる。田舎者を惑わすキャバ嬢なのか?と思ってしまうことが時々あった。

 バレットはいいキャラをしているし、常に前向き単細胞なところは好感が持てるが、一方でテロリストとしての振る舞いは流石に浅薄が過ぎる。魔晄炉爆破の被害を克明に描写しているのに、アバランチ側の言動はオリジナルに近いコミカルなノリで、かなり微妙な気持ちにさせられた。バレットへの指摘が思わぬ人からあったことで多少溜飲は下がったが、やはり早くケットシーが出てくれないと折り合いがつくには程遠い。

 引き上げられたディティールが、オリジナルに由来する戯画化された個性と、小さな衝突を何度も起こしている。「なるべくオリジナルままで行こう!」と思い切ったにせよ、もう少し、うまい言い訳を用意してほしかったのが正直な気持ちだ。

 また、上記の問題に付随して、ジャンプ力や、危険と判断される高さがシーン毎にまちまち過ぎるのも気になった。こちらは、ディティールと世界内の物理法則orゲーム上のお約束が衝突している。

 こうした問題は、FF7発売当時のイラストと同等のデフォルメであれば、問題にならなかっただろうが「アドベントチルドレン」や「ディシディア」以降の今、それでは期待に応えられなかっただろう。となれば、今作のような問題は避けようがない。もう少し、違和感を抑えるよう対応したリメイクを期待していたが、それはやはり難しかったのだな、と痛感させられた。

 

 

 

 

余計な贅肉が多い。

 一番気になったのは、「全ロケーションで最大限に遊ばせようとし過ぎ」ということ。

 オリジナルにあったロケーションを今の技術で体験できること自体は嬉しいが、FF7全体はもちろん、本作一本の中でも大した意味を持たないパートですら通過するのに時間がかかることになってしまっている。特に、列車墓場、ウォールマーケットへの道、下水道(コルネオ部下)、宝条研究エリアなどは、これいらんだろというレベル。次の展開へ早く辿り着きたいのに邪魔くさく、追加イベントもさして意味があるとは思えず、変なところにリソースを割くなよ、と思いっぱなしだった。「ロケーションを用意したからには何かしらゲームプレイとして意味のある場所にしたい…」と考えたのかも知れないが、結果的に贅肉にしかなっていない。「水増し」というには労力がかかっているが、しかし、不要に感じてしまうという意味では変わりはない。

 

 

ここから先はネタバレ

 さて、ここからは物語終盤に関することをネタバレありで。

 

 

 

 本作終盤、オリジナルとは全く違う展開が始まり、ラスト、今後はオリジナルと違う展開になると予告して終了する。オリジナル未プレイの人間には意味不明な展開のオンパレードかも知れない。全く不要に感じたところまでオリジナルを膨らませてプレイさせていたのに、突然、明後日の方向へ全力疾走しだしたので、かなり困惑した。いや、今も割と困惑している。「ファイナルファンタジー7 REMAKE」って分作なんだから「REMAKE1」とかにしろよと思ったけど「REMAKE」なのはこの1本だけって意味だったんだな…(多分)。

 オリジナルと同じシナリオへ誘導しようとする存在「フィーラー」を打破することにより、辿るはずの運命(オリジナルのシナリオ)をも打ち破り、まだ見ぬ未来へと歩き始める。「運命(星の滅び=メテオ)に抗う」という、FF7オリジナルのテーマを引き継ぎつつも、より明確にし、新たな物語を語る方向へ進むことになったこと自体は歓迎したい気持ちもあるし、本作以降の展開を全て原作準拠で行うよりは、まだ表現可能な範囲と折り合いがつけやすいように感じる。

 だからと言って、簡単に飲み込めない自分もいる。序盤~中盤にかけてプレイしながら、思いを馳せた先々の展開は描かれない可能性が出てきた。本作では、見たいと思ったものをたくさん見せてもらえたが、この先、見たいと想像したものは見れないかも知れないわけだ。

 それに、エアリスやザックスの死は回避されたかも知れないが、同時にエアリスの死によって描かれた物語はもう一度編まれることはない。エアリスの死の上に成り立った物語を、今の形でもう一度体験することは出来なくなってしまった。

 少なくとも、すでに片翼の天使をBGMにしてセフィロスアドベントチルドレンを彷彿とさせるバトルを終えてしまったので、もう一度同じことをやるとは考えにくい。セフィロスが半裸になって超究武神覇斬を食らうためだけに、同じことやったら笑っちゃうだろうし。

 シンプルに、先行きへの不安もある。キングダムハーツもそうだったが、風呂敷を広げるとろくなことがないのが、スクウェア・エニックスだ(除くFF14)。コンパクトにまとめろ、とまで言わないが、広げた風呂敷を見事綺麗に畳んだのは一体いつのことだったか…。本当に思い出せない。

 いたずらに不安になってもしょうがない。せっかくオリジナルとは違う展開を作り上げるのだから、オリジナルの一歩先を目指した物語を紡いで欲しい。あと、全編を忠実にリメイクした場合より早く完結出来ればいうことなしだ。

 

 

衝突に悶々としたが楽しんだ

 23年前の、しかも今なお大きな影響を残すゲームをリメイクする難しさが、さまざまな衝突として表れている。まさか、シナリオ上でまでオリジナルと衝突するとは思わなかった。自分の中で衝突を繰り返すってまるでクラウドや人類みたいですね。

 最後はめちゃくちゃ不安にさせられてしまったし、衝突部分で悶々とした場面もあったが、良い部分もたくさんあり、楽しませてもらったのは間違いない。アクションの手応えがあり、戦略がうまくハマれば一気に倒すことが出来るバランスが楽しい。オリジナルをプレイした記憶が、マテリアを嵌めるだけのことを感動に変えてしまう。23年の時を経て、クラウドというキャラクターに感情移入出来たのも良かった。これは、櫻井孝宏さんの演技が大きく貢献していると思う。

 次回作は本当にどうなるのか全くわからない。発売日もわからない。しかし、面白いものになる、ということだけは確実であって欲しい。

 

 

 

今日は以上。

*1: 戦闘メンバーが1名の時は、ただ見ているしかできない。これが1ターン分か…?!と思ったが、こんなことで知りたくはなかった