「サガ・スカーレットグレイス」感想(タリアクリア)
「サガスカ」を遊んでたら年明けて仕事も始まっていた。俺です。
本筋(すらあってないようなもんだったが)以外を遊んでいると、底なし沼で、他のゲームに手を付ける余裕ゼロだった。
今日は、まだ1キャラクリアしたのみだが、キリがなさそうなため「サガ・スカーレットグレイス」の感想を書いちゃう。
サガシリーズ最新作
「サガ・スカーレットグレイス」はサガシリーズの最新作。
事前情報ではゲームの中身にピンと来なかったんだが、実際プレイしてみると、しっかりサガシリーズの要素を継承しつつ、コマンド式バトルRPGの面白さをぐっつぐつに煮込んだような仕上がりでかなり楽しめた。
クリア状況
タリアでクリア。
不死鳥追跡→緋色の欠片探し→大地の蛇討伐を経て、ラスボスを撃破。主な使用キャラの武器レベルは大体30オーバー。槍と斧だけ全技をマスターしたっぽい。プレイ時間は不明だけど40時間は軽く超えてると思う。
戦闘回数総計はわからないが(見落としたかも)、少なくとも主人公タリアは250回以上戦闘参加していた。
2周目はウルピナでスタート。まだ序盤。
これは「スカーレットグレイス」
サガシリーズ最新作だが、ロマンシング・サガやサガ・フロンティアなど過去作と比較すると「アンリミテッド・サガ」ほどに色々違う。いやこれは言い過ぎ。
まず、今回、フィールドはあるが、ダンジョンや町のマップがない。探索要素はフィールド上を歩き回ることにのみ集約されている。
また、ほとんどのイベントは、バストアップのキャラによる会話で行われるのみ。
探索マップが削ぎ落された(削ぎ落したというより再構築した結果という感じもする)結果、ゲームプレイのほとんどは、バトルが中心となっている。フィールドで、街やダンジョンなどのマップアイコンに接触時、バトルが発生する場所では、敵の編成や難易度が表示され戦闘前に確認できる。事前情報を元に戦闘に挑むかどうか検討して、パーティー編成などを経てバトルに入れるようになっている。
思い切ったバッサリ仕様で、この削ぎ落としっぷりは、ある種のスマホゲームに似た趣きすらある。
グラフィックとサウンド
フィールド画面に配置された書き割り調のアイコンや、イベントの仕様は、はっきり言えば、今時チープな内容ではある。
ただ、戦闘時のキャラクターモデルやエフェクトなどは上出来な仕上がり。ロマサガ以降のシリーズでは、もっとも小林智美氏のイラストに近いデザインでありつつ、直良有祐氏のテイストも程良く配合されている感じ(直良氏が参加してるか確認してないが)。モーションもシンプルでいい。
サウンドは安定の伊藤賢治氏。タリアでのプレイ時は、うんまぁまぁいつも通り~みたいな温い感想だったんだが、どうも主人公ごとにフィールド・戦闘曲が用意されているようで。ウルピナのBGMは頗る好み。
大量の突き放したイベント
探索要素などがバッサリ削られた(選択されなかった)分、このゲームのプレイを強烈に駆動するのが、イベントとバトル。
まずイベント。
とにかく訳のわからない、唐突なイベントが「大量」にある。
初周に選択した主人公タリアは、スタート時からなかなかパンチが効いてる。陶芸が歪んでいて気に食わないタリアは原因を探すため旅に出る。なかなか非凡な設定で始まるが、そこまではまだいい。しかし、外に出た途端、空を横切った巨大生物が歪みの原因だとタリアが言い出した段階で「なるほどそういうノリか」と。
道に転がってた殺生石で敵と戦っていると、火山が爆発する。幽霊に襲われている人を助けたら悪霊に憑かれて戦闘ごとにLP減らされる。脚を集めていたおじさん(脚を集めるおじさんってなんだよ)に、たくさん脚を渡したら魔物が現れる。捨てられていた子供を拾って色んなところに預けるが、何度も同じ場所に捨てられる。なにこのゲーム。
大量の仲間が登場するが、仲間になる理由は大体テキトー。
「一緒に来ない?」
「そうだなー
>>一緒に行く
>>やめとく」
「そうだなー」の緩さよ。選択権が仲間に移るのも味わいがある。
イベントがシンプル過ぎて背景が見えないものが結構ある。見えないが、なんとなく解るようで、解らないようで…この突き放し具合が絶妙。そんなイベントが行けども行けども登場してくる。最初は「え?このイベントこれで終わり?」などと考えていたが、次々と様々なイベントが始まっては彗星のように終わっていくため、次第に悟りを開いた(何も考えなくなった)。世界は、プレイヤーの思惑と関係なくそうあるようにそこにあって、なんか起こったり起こらなかったり放置できたりするのだ。
流石に、メインシナリオには、しっかり動機と導線があるが、タリアの場合その動機が「焼物が歪むので」だからいまいちコミットし辛いよ。その理由で3度も旅に出るのもすごいし、毎度都合よく訪ねてくるカーンはタイミング最高男でかわいい。
逆に、ウルピナの導入は余りにちゃんとしていてビックリしたわ。レオナルド、バルマンテだとどうなんだろうね。
ラストバトル前にタリアが話の流れをまとめてくれたが「うん!大体よくわかったがわかんねえ!」という感じだった。まぁ、ロマサガもこんなんだったな!!
全主人公でプレイしないと解らんのかしら?しかし、ラストバトルの曲や演出がかっこよく(特に序曲は出だしからして最高にかっこいい)、これでいいのだ!というパワー演出のおかげで清々しく終わることができた。
イベント自由度・分岐は相当高い。
メインっぽいイベントの合間にも、よくわからないイベントがずんどこ始まるし、選択肢によって色々変化も起きるし、あっさり放置もできる。昨今のオープンワールドゲーム並に色んなイベントが発生するが、クエストという形でまとめられていないので、放置したイベントを完全に忘れ去ることも容易。イベントフラグを立てても気づかず通り過ぎてたパターンもあるんじゃないかな。強いサガらしさを感じる。
クリア後、攻略wikiなども読んでみたが、イベントが大量かつ、キャラや選択肢、タイミングによってイベント内容・結果が変わるようで、同じゲームをやってるはずなのに、俺の知ってる内容と違うぞ、という部分が散見された。緋色の欠片は数個集めただけでなんの盛り上がりもなく終了したし、マクシミアスはアレなことになって再起不能になったんだけど、どうなってんだ。
過去最高に面白いコマンド式バトルと育成
このゲーム最大の美点、バトル。
ゲームプレイの大半がバトルと育成で構成されているわけだが、このバトルと育成が最高に面白い。バトルプランナーさん天才。
バトル・育成を構成している要素自体は、さして珍しいものではない。
一つ一つは「過去作にあった」「他ゲームにあった」「ありそう」という要素だが、絡み合わせ方が本当に絶妙。無駄な要素が一個たりとてない。
バトル前に敵情報を確認し、解る範囲で敵に合わせて編成や装備を検討する。弱点を突きつつ、敵の有効打を軽減する装備をセットアップするのは非常に重要。その上で、編成したキャラの強みを活かせる陣形を選択する。セットアップがうまく行けば強敵も俄然優位に戦える。
戦闘中は勿論、選択肢の連続。ターンごとに「適度に最適な手」を考えさせるスリリングさが丁度いい。過去作では趣味性の高い武器も散見されたが、今作では武器それぞれの特性が明確で、どれもこれも「使い方次第」と思わせてくれる(唯一体術だけ、閃き特性の問題から使いにくかったが、稲妻キックだけはガチだと思う)。この点でも絶妙。
LPが減ったらキャラを入れ替え待機させて回復させる。バトルごとに設定されたリワード目標達成のために色んなメンバーを育成する。新しい技を閃くため、技レベルを上げるため、術を強化するためメンバーをどんどん入れ替える。ロールを増やすために武器を変える。諸要素が大小のうねりを生み出し、延々バトルしていても全く飽きが来ない。
完成度の高い戦闘システムもすごいけど、戦闘バランスも素晴らしい。白熱したバトルを最後まで楽しめた。敵火力は相当高めで、2~4発の攻撃で簡単にキャラが戦闘不能になる上、回復は容易ではない(詠唱に1以上ターンかかる術でしか回復できない)。しかし、防具選択、防御やガード技、スタンや各種状態異常などの手段を総動員すると、被ダメージを大きく軽減できる。狙った戦法がハマった時の効果は大きく、快感が半端ない。かと言って、ガチガチのシビア一辺倒だけじゃないところがまた素晴らしい。全然対策出来てなかったのに、恩寵や閃きが重なって倒せてしまったりすることも、たまにあるし、難易度EASYならちゃんと余裕勝ちできる。もらいが少ないから好んで戦うことはなくなっていくけど。
ラストバトルは「もうやめてくれ!!」と言いたくなる苛烈な攻撃を、ギリギリで凌ぐ展開の連続。勝った時の清々しさったらなかった。
ここまでやりごたえのある戦闘は久しぶりで、バトルと育成だけとっても素晴らしい出来だと感じた。
読み込みと動作全般は惜しい
戦闘は濃密だが、戦闘前には結構なローディングが存在する。
コマンド決定後の「Ready」「Ready」「Ready」「Ready」「Go!!」演出については、ドキドキしながら待つのが楽しいこともあって、然程気にならなかったし「Ready」の回数が多いと「閃きよったで!!」とテンション上がったりして、悪いことばかりではなかったものの、ローディングについては、ゼロに近いほどいいに決まっている。鬱陶しくてやる気を削がれることは「一切」なかったが、今後のアップデートで短くなってくれれば、それに越したことはない。Unity側の問題かも知れんけど(ネオアトラスもそうだったが、UnityってVitaに最適化出来てないんでは…)。
あと、こちらもUnityの問題という気がするが、処理の重い時がたまに。戦闘中タイムラインを選択してる時や、編成後のメニュー画面遷移時などで、画面が止まってフリーズしたか?と思った瞬間が何度かあった。一度はアプリクラッシュしたので、その後は重くなるたび、ちょっと気になってしまった。
あと、これは贅沢な希望だけど、十二星神全部と戦いたかったな~。
このサガの「始まり」に続いてほしい
潔いリソース配分は、取っつきにくい感もある。
物語は1キャラだけでのプレイでは断片的で全貌が見えないというか、全貌なんて本当にあるんだろうか?という感じ。
しかし、本当に今作のバトルは良かった。それだけで充分最高ってくらいに。
あと、こういう積み上げ要素が面白いゲームでは結構重要なことだと思うけど、プレイしてて「面倒くさいな」って要素がほとんどなかった。唯一、産業開発だけは完全に面倒だったけど(終盤になって解放されたせい)。バトルは色んな要素が絡んでるけど、都度考えることは然程多くない。面白いバトルを楽しみながら、膨大なイベント自由に遊ぶ、というシンプルな構成が、うまくハマったお陰だろう。
「このサガは【始まり】」と、ファミ通のインタビューで語っていたようだが、是非、この戦闘システムを発展させた次作を作ってほしい(いやこの戦闘はすでに完璧じゃねえか?という気持ちすらあるけど)。
「戦闘の面白いRPGやりてー!」と思ってる人は、サガスカに続くサガが生まれるよう「サガスカ」遊んでみませんか。
今日は以上。