「グラビティデイズ2」感想
土日で「グラビティデイズ2」をやり倒していたら、時折世界が回転するようになった。俺です。
一気呵成にプレイしてクリアしたので今日は「グラビティデイズ2」の感想。
プレイ状況
メインストーリー、サブミッションを全てクリア。
チャレンジは全て放置してクリアした後、4つほどゴールド取得。
アルバムは全て撮影。
オンライン要素は、プレイ中ほぼメンテだったため、ごくわずかに体験した程度。がんばれSIE。
前作から5年
「重力」大好き人間である自分は絶対にプレイしておかねばならないタイトルとして、一作目をVita購入と同時にプレイ。空に向かって落下する、天井・壁、どこであろうと、着地して、走って蹴って飛べる唯一無二のゲームとして楽しんだ。
しかし、主人公キトゥンが悲惨かわいい一方、雑な展開と大量の伏線未回収のまま堂々未完で終了する物語には「あくまで話はおまけ」と心の防壁を展開してやり過ごす他なかった。
そんな唯一無二の重力ゲームの続編はどうだったか。
基本的な重力アクションは前作を踏襲
基本は前作同様。R1を押すと画面中央方向に重力が働き、その方向に落下する。
重力スロー、スライドなどもほぼ同じ。スローは全体的に強化されたが、操作感は同じ。PS4でリリースされた一作目HD版に準拠しているため、操作はかなりしやすい(フレームレートは落ちているが)。
重力操作して落ちまくる=飛び回る気持ちよさは健在。新規マップは、全体的により広さを感じる地形になっており、立体的に飛び回ることがより楽しいように調整されている。
アクションの質も前作同様
本ゲームのアクションは、気持ちよさ優先の調整になっていない。
いや、重力を制御して落下=飛翔する気持ちよさは抜群だが、そのほかのアクション全般、攻撃したり、キャラを制御したりすることの快感が薄い。
近接攻撃は相変わらずリーチが短く、ヒット感が薄い~ヒットストップなし、エフェクト軽微~な出来。重力キックはヒット感があるものの、一回一回滞空があって高速のテンポ感はなく、前作同様。ジャンプ、チェーンチェンジのレスポンスなど、細かいところで操作性重視とは言い難い。移動関係のモーションは頗るいいがそこが快適なので、ジャンプアクションを要求される場面などで、ちょっとしたもたつきが気にかかる。想像するに、重力制御という特異な要素を扱うにあたって、それ以外の動作はなるべくリアリティーのある、身体性が高いだけの女の子という程度に抑えケレンを排除することで、重力制御しての行動を強調する意図があったのかなと。
しかし、重力操作という点を横に置いて、アクションゲームとしての感触のみに絞って言うと、一作目同様、爽快感が足りない。
この点は一作目から是非改善してほしかったのだが、どうもその方向に注力する気はなかったようで残念。
2つの新チェーン
今作では、従来の状態を「アンチェーン」として2つのモード「ルーナチェーン」「ユピトールチェーン」が追加された。それによって攻撃・行動のバリエーションは増している。
ルーナチェーンなら通常移動がフワフワ軽やかになり、近接・重力キック共に誘導性能が強化、スロー攻撃では足止めが可能に。ユピトールチェーンは、移動近接が重く大火力になり、重力キック・重力スローともに着弾時範囲攻撃の可能な溜め攻撃に変化する。通常の動き、攻撃方法、必殺技、全てが変化するので、チェーンチェンジによって単純にアクションに飽きが来にくくなっている。
問題は、性能がいずれもピーキーで使いこなすのが大変なことと、チェーンチェンジが、スライドパッド使用のため、スピーディーに行いにくい点。慣れれば、ルーナのスローで足止め後、ユピトールキックをぶち込んだり、ルーナのキックで高速追撃後、アンチューンのキックに切り替えたりできるが、慣れるまでがほんとに大変。近接関係のアクション調整が辛いのは、これら新チェーンにおいても同様で、相対的に、強化された重力スローを雑に連発するのが一番早いという状況が頻発していた。オブジェクトが切れるまで撃ちまくれ。
ただし、慣れてしまえば、切り替えて登場する敵に対応するのは前作にはなかった遊びとして楽しめる。
レベルアップシステムについては、アクセサリーが登場したことで簡略化。メイン・サブを攻略していれば、体力などは勝手に増え、ジェム収集が緩和されたのは助かった。自分の場合フラフラ飛び回っているだけで賄えたが、いざ短期間に稼ぎたくなればチャレンジがあるので、カンストを目指そうとしなければ、なんとでもなる雰囲気は感じる(カンスト目指すとゲームプレイがヌルい地獄だった)。
完結した物語…だが
堂々未完で終了していた前作だが、本作では、サブタイトルに「完結編」と冠し、退路を断っただけあって、バッチリ完結している。
ただ、アクション部分同様、こちらも前作のノリを踏襲してしまっている。
ハード性能の恩恵を受け、リアルタイムデモの演出が増えたことで、より引き込まれるイベントシーンを作り上げているのだが、お話の内容自体は、細かい説明を端折ってザクザク進んでいく。
キトゥンの扱いも、前作に負けず劣らず悪い。やさしいのは気の弱いシシィとフィーくらいで、あとはキトゥンを飄々と利用したりこき下ろしたりする人ばかり。リザはこき下しはしないものの厳しいし…真っ当に評価されたり報われる瞬間めっちゃ少ない。前作もそうだったが、なんてプレイヤーにやさしくないシナリオなんだ…。開発はサディストに違いない。
前作で張った伏線を一応全て回収しているっちゃしているんだが、新舞台・新キャラの設定を紹介するのに終始する序盤に押し出されたか、中盤以降は、総集編劇場版のように話が進んでいく。元老院は何をしようとしていたのか、結局姉妹は何がどうでああだったのか、悪役たちの掘り下げ不足、などなど…最後に強引に押し流して終了させた感がある。強引な展開でもノレたら違ったのだろうが…ノリきれなかった。
色々荒っぽいが、前作で提示した伏線についてはちゃんと解決して、強引ながらも完結までやりきっている点は良かったと思うし、説明不足だろ、と思う点はたくさんあるものの、消化不良でもやもやするということはなかったので、これはこれでいいかという感じ。
雰囲気最高の美術の中、飛び回るだけで楽しい
アクションとしての調整は個人的に微妙。お話は、とにかく片づけた感は否めず…。
しかし、じゃあつまらなかったのかというと全くそんなことはなかった。
とにかく、メインの楽しみである「重力操作」をしての「落下=飛翔」するだけがとにかく楽しいのだ。
前作より倍以上になったマップは、景観がとにかく楽しい。
ヨーロッパな色彩と街並みにスチームパンク……な前作の舞台「ヘキサヴィル」の時点でも相当素晴らしい美術だったが、今作は、遺跡+ファンタジックな風景からスタートし、南国+香港九龍という雰囲気の街や、厳かな空中庭園まで、前作以上のバラエティー豊かな景観が登場する。構造も、縦横にバリエーションがあり、島の下に潜ってウロウロしたり、外壁を走って飛び回るのが楽しいこと楽しいこと。
景観が良いので、追加された写真という要素も生きてくる。飛び回って楽しいロケーションを見つけて撮影し甲斐がある。
生きた環境としての作りこみは正直ほとんど成されていないが、イラストのように切り取れる空間が盛りだくさんというだけでありがたさが勝つ。
各エリアは離れているものの、シームレスに飛び回って行き来可能。空の広さも行動範囲も自由さをより増しているので、世界を相当広く感じるし、どこまでもどこへでも飛べそうな気持ちになってしまった。素晴らしい。
正直、メインストーリーやサイドミッションをこなすより、被写体を探してビルからビルへ、町から町へ、フラフラ半ば無軌道に飛び回っている時が一番楽しかった。
雰囲気抜群の凝った街並みの中、縦横無尽に(本当に縦横無尽に)延々と飛び回れてしまうだけで、このゲームをやってよかった、という気持ちになれた。
音楽は流石
田中公平作曲の音楽は流石の一言。派手なメインテーマや、リンゴの唄(万有引力の発見アレンジ)も良かったが、何より記憶を紐解く一連のパズルシークエンスでのBGMが印象的だった。
あとは、戦闘BGMが転換時に全くの違和感なく終了するようになっているのはポイント高し。最近のゲームでは、この手のサウンドプログラムは最早当然という感じだが、ペルソナ罪以来、この手の処理に遭遇するたび、グッと来てしまうセンサーが埋め込まれている。
個人的な欠点は克服されなかったが着実に上乗せされた内容
自分の期待とは強化ポイントが違ったため、色々マイナス点も書いたが、全体的に見ていくと、前作を基礎に、着実な追加パワーアップをしたと言える内容に仕上がっていたと思う。
一番重要、かつ、唯一無二である「重力操作で飛び回る」という部分がより楽しくなるよう、マップと景観が作りこまれ、前作ではぼんやりと感じた閉塞感はなくなっていた。それを目一杯楽しめたので十分だ。
なんだかんだで、キトゥンの物語は完結したことだし、次は、チャレンジなりを攻略しながら、DLCでクロウの物語が完結するのを待ちたい。
※追記
後日、なんとなくプラチナトロフィーを取得。
次いで、DLCもプレイしたが、1と2の狭間、本編の設定に深みを与えるような内容ではなく、チューンチェンジのないクロウを使った内容ということで、遊びの幅も減退していたのは残念。手を抜いた内容では決してないものの、必須という印象ではなかったな。あ、ボス敵のデザインはちょっと浮くくらいにかっこ良かった。
今日は以上。