「アサシンクリード:オデッセイ」感想
クリアしたので、あらためて感想を。
動画は英語設定のもの。
面倒くさかったアルテミス部族の村へ潜入してる動画。
プレイ状況
ハードはPS4。難易度はノーマル。
メインクエストは全てクリア。9割以上の地域を回り、?の場所はあとわずか。
レベルは当然最大の50に。
壮大なワールド
現在のギリシャ全域をカバーする広大な世界。ただ広いだけではなく、徹底した時代考証に基づき、調度品一つまでデザインされた緻密さから、島が小さく見えるほどの大海原での船旅までを、シームレスに楽しめることにより、とんでもないスケール感が味わえる。いや、これだけなら「GTA」などでもやれていたことだ。単にカメラアイのレベルでの近距離~遠距離という差があるだけでなく、プレイ内容も、ミクロなステルスや調査ミッションから、大規模でド派手な海戦までがシームレスに行えるようになっている。その間に手続きらしい手続きはなく、同じキャラクターの足を使って移動して連続したものとして行える実感がある。「ゼノブレイドクロス」辺りでも、マップデザインを通して同じような印象を感じたが、それを、より高解像度にしたもの、というのが近い。
グラフィックはPS4でも上々
PS4版で遊んだわけだが、グラフィックは十分に綺麗だった。テクスチャやモデルの読み込み遅れはちょくちょく発生するものの、没入感を削がれるより「このレベルならしょうがない」と許容したい気持ちが勝った(町中を馬で移動するとよく発生する)。基本的に、遠景モデルから近景モデルへ切り替えるlevel of detailがスムーズだったこともあるし、ディティールも半端ないので、多少の読み込みミスはしょうがないレベルだろうと(ないに越したことだし、無理すんなよと言いたくなる時もあるが)。
フレームレートが激落ちする場面には、時折遭遇。しかし、プレイに支障をきたすような場面での発生はほとんどなかったし、カメラ方向を変えてしばらく待てば解決することがほとんどだったので、そこまで気にならなかった。
最大の弱点、会話ローディング
世界を移動するのはシームレスなのだが、問題は会話シーンほぼ全てでローディングが発生する点。
おそらく、近距離用キャラデータを読み込んでる加減なのだろうが、この待ち時間はじわじわ痛い。どうでもいいランダムクエストの会話ですらローディングが出るので、ランダムクエストを請けるのが嫌になったほどだ(ちなみに会話する対象人物の横でしばらく待ってから話しかけるとローディングがなくなることが多い)。
グラフィックとトレードオフだったのかも知れないが、ここも快適なら…と思わずにはいられなかった。
ボリュームに追いつかないアクション&RPGシステム
レベル制による成長要素や、ハスクラ的な武器防具のシステムなどを盛り込むことで、暗殺者のようにも、狂戦士のようにもプレイすることが可能なようになっている。
暗殺に特化した装備を組めば従来作のように暗殺しまくり。遠距離攻撃に特化して敵の視界外からヘッドショットしまくり。敵陣に見境なく突っ込んで寄る敵がいなくなるまで殺しまくり。装備を切り替えることで、プレイスタイルを任意に選べるのはいいところだ。スキルも、小コストで振りなおしが可能なので、プレイの幅は広いと言える。
ただ、世界の広さ、クエストのボリュームを前には、深さが足りなかった。
序~中盤、寄り道しすぎたせいもあると思うが、スパルタ国に入る手前(メイン6~7割)ぐらいで、レベルはカンストしてしまった。ほぼ同時に、賞金首を倒してなりあがる楽しみも終了してしまう。
戦闘も、よく出来ているのだが、敵種類は品切れとなってしまうため、単なる雑魚を相手にする分にはパターンが固定になってしまう。超ボリュームの前では、戦闘に飽きてしまうのは避けられなかった。
また、レジェンド装備が揃ってくると、それ以外の装備がまったく不要になってしまう。こうなると、ますます通常の雑魚戦をこなす意味がなくなり、賞金首に至っては面倒なだけの存在になり下がる(その頃には懸賞金を支払う余裕があるので手配マークがついたら速攻お金で解決すればいいだけだが)。
自由度が高いゲームプレイと、この辺のバランスを一致させるのは至難の業だと思うが、戦闘手順が最適化されてしまうのは早かったし、こと、自分のプレイとしては、せめて、通常の戦闘を行う動機が長く用意されていればよかったのにな、と感じた。
何もかも序盤に寄り道をまめにしすぎたせいという気もする。
膨大過ぎるクエスト
ただ広いだけの世界にならないよう、世界はクエストに満ちている。
メインストーリーを進めるメインクエスト、世界やキャラクターを掘り下げるサブクエストが世界に散りばめられており、さらに、傭兵として請けられるランダムクエストが無数にある。
クエストは派生して複数のクエストになることがほとんどで、例えばメインクエストはただ本筋の話を追いかけるだけでなく、相互に絡む3種のクエストラインに枝分かれする。具体的には、失われた家族を取り戻すクエストと、暗躍する組織コスモスを潰すクエスト、そして古代技術を発見・封印するクエストだ。どれも主人公の出自に絡み、過去、そして未来へ関係する重要な内容となっている。
すごいのは、ランダムクエストまで手抜かりがないところ。メイン・サブのクエストと因果関係のあるクエストも登場するため、ランダムだと言えど、おろそかにしないところは好感が持てる。ランダムクエストを始めたら、依頼者がメインクエストで殺したキャラの奥さんで「お前のせいで夫は死んだんだ!」と罵倒されてクエスト失敗したときは驚いたわ。
膨大なクエストの通りに移動すれば、ほぼ全ての地域にアクセスすることになる。これによって、行く動機が皆無の地域がないのは評価したいのだが、一方で、水増しと思ってしまうクエストも多い。ランダムクエストが凝っていると言っても、やること自体は単純な繰り返しでしかない。とにかく寄り道が連続して発生、それがどんどん世界を広げてくれる喜びが混乱に変わる。一度に処理しきれる以上のクエストが同時多発するために脳が捻挫して面倒が勝って来る。アテナイ関係者周辺のクエストは、お使い度合いを隠しもしないクエストが多く、面倒を助長している(一応面白いオチはついているが過程は長くつまらない)。調査系クエストも好奇心をそそられるより、作業感が強い。メインクエストだけ見れば、面白い場面も多数あるので、贅肉を削ぎ落して面白いところだけ尖らせた方が、もっと楽しかったろうに!!と考えてしまった。
あと、ついでで世界を網羅させようとしてくれてるのかも知れないが、時折強引な誘導が発生するのも辛い。ファストトラベルポイントから微妙に離れたとこに通わせるのやめてくれー。
物語を豊かにする選択肢
物語自体は、基本的にほぼ一本道だ。各国の命運は決まっており、歴史を変えられるということもない。アテナイは負けるし、スパルタは勝つ。どんな征服戦争に参加して状況を変えようと、大きな状況は変わらない。歴史上の人物は大体史実通りのタイミングで死ぬ。
結末は決まっているが、本作には無数の選択肢があり、過程に大小の影響を与える。中には取返しの付かない選択肢もある。
選択と結果の距離は離れているため、いちいちやり直そうという気持ちすら起こらず、「あの選択に対するこの結果は自分のものだ」という気持ちになりやすい。諦念すれすれではあるが、自分にとって、このやり口は正解で、「もし違った未来を選んでいたら…」という後悔にも似た想像を膨らませつつも、これから進む物語を受け入れるというゲームプレイを生んでくれていた。
思い当たる範囲だけでも、ポイデーの生死、義父や義弟の生死、コスモスの行く末や、家族が再生するかどうか、などなど、重要な事柄が選択肢によって変わった気配がある(具体的にどう変わるのか確認したわけではないが)。特に、コスモスメンバーの「商人」をどのように打倒したのか、という選択は、色んな事象に波及し、その時はなんでもないと思った選択が、後々まで影響を与えた例だろう。
重みを感じる選択肢と、それを受け入れる(しかない)作りは、ラストのソクラテスとの会話にも重みを加えており、ただなんでもなく墓場を歩くという時間を、過ぎた時間と人々のことを思う時間に変えており。個人的には、この一点でもって、アサシンクリード:オデッセイはいいゲームだったと言っていいと思う。
なお、例によって先史文明の謎を紐解く現代パートがあるわけだが、これについては、うーんそうですか、という感じだ。
史実とゲームがぶつかった狭間で
本ゲームは、紀元前420年代ギリシャを再現していることが面白さの大きなポイントでもある。
紀元前にも関わらずここまで発展してたのか!神殿建築はこんなに華やかだったのか!屋根、瓦じゃん!などのビジュアルによる驚きは、このゲームならではだと思う。
戦争と国家の行方に一傭兵の位置から関わる醍醐味はウィッチャーなどにも通じるものがあるが、そこに史実との兼ね合いという要素を絡めて、より違った楽しみ方も出来る。本編の後、ソクラテスがアテナイ市民によって刑死させられることを思うと、その言動にも別の深みが増すし、コスモスの暗躍、主人公の動きも、現状わかる歴史から考えると色々面白い繋がりが見える。クレオンの台頭と失態の裏にコスモスと主人公が関わっていたのは非常に楽しい展開だった。
そんな重厚な世界で、同時に神話の怪物と戦えるのは、別の楽しさがある。単純に手慣れた兵士を相手にするより面白いのもあるし、重厚な世界からほんの少しはみ出たファンタジー要素だけに、リアリティーも違う。神話の怪物と戦っている最中だけは、膨大なメインのドラマも、広大緻密なギリシャ世界も、怪物をより劇的に成り立たせる背景になる。めちゃくちゃ贅沢な体験だ。
ゲームプレイは摩耗しても、体験は残る
クエストは多すぎて面倒になった瞬間もあった。ステルス・戦闘は最終的に少し飽きてしまった。
しかし、プレイ序盤の世界の広がりを感じた印象と、史実を遊ぶ楽しさ、そして、選択の結果を思う瞬間は素晴らしかった。アクション部分は耐えきることができなかったが、そのほかの体験は最後までこのゲームを楽しませてくれた。
次回作ではボリュームに負けないだけのバトルシステム的な奥行きも欲しいなー。
今日は以上。