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ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

「レッドデッドリデンプション2」感想

 「レッドデッドリデンプション2」をクリア。流石、開発に約8年かけただけあるハイカロリー作品だった。

 以下、プレイ中に書いた感想をまとめなおした程度の内容。

 具体的なことはあまり書いてないが、エンディングなどにも触れているので、未プレイの方は注意を。

 

 正直、あまり考えがまとまっていない。「起こった出来事」をそのまま受け止めるしかない、という感じで。

 なので、いつもにも増して、取り留めない感想。

 

 

プレイ状況

 ストーリーを100%クリア。

 各種チャレンジやコレクションは全く進んでいない。

 プレイ中、寄り道などもたくさんした。が、無軌道な探索プレイだけでは、多数用意されたコレクション要素のリストを前にすると「ミッションを一通り遊んだだけ」と思える。

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冒頭が一番厳しい

 レッドデッドリデンプション2(以下、RDR2)において、最も厳しいのはオープニング直後だ。

 流れもわからないまま、大量の人物たちと共に、雪山という苛酷な環境に放り込まれる。寒さは体力・スタミナを削り、武器も食料も乏しい。名前も顔も一致しない連中が、見知った仲として描かれるシーンを眺め、リニアな進行のミッションを攻略することになる。操作は多く、ミッション中に飲み込んですぐ適応するのは難しい。慣れてしまえば問題ないが、慣れるのに時間がかかるのだ。

 開発が何故、冒頭に雪山というシチュエーションを選んだのかはわからない。歩くにも辛く、寒さは時間経過で体力・スタミナを奪い、資源も不足しがちで、周辺には目印になるような景観も少ない。枝に当たれば雪が落ちる。戸棚の開け閉め、アイテムの取得一つとってもいちいち凝っている。めちゃくちゃよく出来ていることはバシバシ伝わってくる。が、爽快感皆無で、こんなにとっつき辛い導入は今時なかなかないだろう。

 逆に言えば、雪山を抜けたプレイヤーなら、その後のプレイでつまづくことはほとんどないだろう。まるでプレイヤーを篩にかけているような気さえした。クリアまでとんでもなくプレイ時間が必要なことも思えば、ある意味やさしいのかも知れない。

 

 

記号化しない、簡略化しない手触り

 RDR2で、もっとも特徴的なのは、記号化・簡略化が薄いというところだろう。アイテムはいちいちちゃんと手に取って拾う。倒れた人からアイテムを探す時、動物の皮を剥ぐ時、自分の馬から武器を取り出す時、全て別のモーションで表現され、それが完了するまで待つ必要がある。洗練されたシェンムーだこれ。

 宿泊と風呂は別になっており、身体を綺麗にしようと思えば、風呂で身体の各部位を一つずつ洗う必要がある。武器は劣化していくので、定期でメンテナンスしないと十全な性能を発揮してくれないし、メンテナンスではちゃんとガンオイルで銃を磨く必要がある。

 どの動作も、ボタン一発で行えるが、動作が完了するのを見届ける必要がある。自然、ゲームのテンポはのどかになる(銃撃戦時以外)。

 移動についても、ライトにはさせてくれない。ファストトラベルはあるのだが、拠点から出発する際にしか使えず、出先でファストトラベルに相当する、駅馬車・列車は、町・村にしか移動してくれない(そして町の数は便利なほどに多いわけではない)。駅馬車・列車を利用する前には、ちゃんと馬に「ついてこい」と指示するのを忘れてはいけない。指示し忘れると、再度運賃を払って出発地に戻る羽目になったりする(3回くらいやらかした)。

 動作の簡略化を最低限に留め、丁寧(執拗とも)なアニメーションで表現されるデメリットは「面倒くさい」の一言に尽きる。多くのAAAタイトルとは真逆のアプローチで、一方、その恩恵も確かなもので、大いに簡略化されているにも関わらず、そこで「生活し、生きている」という実感がプレイするほどに増す。「生活のために行う行動のほとんどを面倒に感じる人間(=つまり自分のような人間だ!)」が許容できる分量限度まで、生活の面倒を詰め込み、「その世界で生きる実感」の構築を目指したのだろう。その恩恵は、ストーリーにも及び、一言で言い表せない物語に、より一層の深みを与えている。手法としては、然程珍しいものでもないが、このボリュームと密度で堂々とやってのけ、物語を史実のように感じさせるレベルで「重量」を持たせていることにはやはりビビる。

 

 

憂鬱な物語と逃避先としての旅路

 本作の物語は、RDR1の前日譚であるため、結末の見えた物語となっている。主人公たちのギャング団は解散するし、ジョンはいつか政府に利用され、過去の仲間を討ちにいかねばならない。そして、仲間たちも、大半はろくでもない死に方をすることが解っている。

 行く手に悲劇が待ち構えているのを知っているせいで、メインミッション進行中、特に中盤以降は、物語を進めるのが憂鬱でしょうがなかった。何か事を起こすことはすなわち、事態を最悪へ転がしているとしか思えなかった。アーサーがどのように努力しようと、理想的な着地はしないと解っているのが辛い。しかし、どう転落するのか気になってしまって先に進めてしまう。嫌がらせのように、緩慢に、着実に、ギャング団は転落していく。

 本作のミッションはタイトではない。正直、贅肉も多いと感じる。馬鹿馬鹿しいミッションは大歓迎だが、煮詰まって来た状況の中で、特に事態が進展することもない、必然性のよくわからないミッションが発生することも多い。先の「面倒」を同じく、あえて雑味を入れているように感じられる。この余計な雑味のせいで、転落は引き延ばされ、隙間が生まれることで余計に焦れて、早くトドメをくれ!というような謎の飢餓感を感じたりもした。

 メインミッションはおおむね憂鬱だったのだが、幸いにも、本ゲームでは逃避する先が、多量に用意されている。ろくでもない行動を強要されるメインミッションと違い、善行を行う機会も少なくはない。現実逃避のツールとしても有用なゲームをプレイしながら、ゲーム内でさらに逃避をするという事に苦笑いしながらも、本ゲームでは、無軌道な旅路を楽しくしてくれる要素には事欠かない。ランダムイベントは豊富で、テキトーに移動していても結構色々起こる。パターンに限界はあるが、こちらが違う行動を起こせば、違う結果で応えてくれる程度によく出来ている。

 そうして無闇な旅路に飽きたら、メインミッションに戻ることを繰り返し、結末まで辿り着いた。叙情的であると同時に、容赦のない結末。背後に昇る朝陽に、おそらくアーサーは納得していたんだろうと祈るしかなかった。

 

 

長い長いエピローグ

 本作のエピローグはかなり長い。長すぎるほどに長い。

 前作をプレイしている身としては、気が気じゃなかった。エピローグにおいて、かつての仲間との再会は嬉しかったが、彼らはRDR1にはいなかったからだ。いつ凶行が起きるかわからない。平和で退屈で「面倒な生活」だけで埋め尽くされたエピローグミッションをこなしながら、平和を脅かすであろうスキニー・ブラザーズや、追いかけて来る過去に怯えた。

 実際には、肩透かしであり、恐ろしいことは起こらなかった。おかげで、一体何故こんなにエピローグを長くしたのか?と訝しんだほどだ。息子とうまく交流できないジョン(クレイトスかよ)が、平穏な日常をこなすのは非常に困難で、牧場の仕事は、拷問に近い割に、利益は雀の涙ほどであることはわかった。

 結婚指輪を渡すシーンは、陽が沈む前だった。BGMはどこか物悲しく、幸せは長く続かないことを示しているように感じられた。実際、ほどなく、政府の手が伸びて、RDR1の旅路が始まることはわかっている。

 スタッフロールの合間合間で流れる、仲間たちのその後は、本ゲームでも数少ない気が晴れるシーンだ。生き残った仲間たちが、かつての出来事を思い出にしながら、新しい人生を穏やかに生きていく。希望のあるシーンにはかなりほっこりさせられた(スタッフロールが長すぎて、ずっと見ているのが辛く、牧師とカレンのその後は見逃したけど)。そんな仲間たちのシーンに挟まって、合間合間にエドガー・ロスによる追跡が描かれ、最後まで徹底して、純粋にいい気持ちにはさせてくれんな!と苦笑した。

 

 

色んなことを思わされる

 言えることは、途轍もなくハイカロリーなゲームだという事。

 ボリュームも、プレイ内容も、語られる内容もカロリーが高い。

 悪行がたやすく、善行の難しい世界。人は醜くとも、世界は美しい。犯した悪行は簡単に拭えず、負債は転がった分、膨らんで襲って来る。みんな後悔している。後悔しないのは逸脱してしまった人間だけで、そうした逸脱した人に、狂っていない人は容赦しない。

 ウェスタン映画に深い人であれば、より色々思うこともあるんだろう。自分はそこまでのめり込んだジャンルでもないので、そちら方面については何も書けないが。

 爽快感や遊びやすさは二の次になっている。とにかく贅沢に作りこまれた世界。ボートを撃てば浸水してそのうち沈む。建築中の家はそのうち出来上がる。伐採される森は徐々に木の数を減らす。一番簡略化されてるな、と感じたのは、料理くらいだろうか。

 作りこまれた世界が、物語に奉仕していると感じる時もあるし、逆に、物語を無視して、ただ世界がそこにある凄みを感じることもある。

 

 色んな感想が渦巻く。

 30日には全プレイヤーにオンラインが解放される。この物量と密度を咀嚼するには、まだまだ時間がかかりそうだ。

 

 

 

今日は以上。