「ジャッジアイズ:死神の遺言」感想
新年あけましておめでとうございます。本当にそうか??
福袋などはどうでしたか?俺はエレキシュガルが重なりました。マーリンもスカディもないけど特に問題はない。
さて、去年末、年越しを目前にクリアした「ジャッジアイズ」の感想から。
クリア状況
ストーリーをクリア。フレンドをコンプリートし、恒例隠しボスを撃破。それ以外の要素は、道中に気分転換で遊んだ程度。
「キムタク」→「違和感」だったが…
「ジャッジアイズ」と言えばキムタク。プレイ開始当初はキムタクで無茶苦茶出来ることに笑い、程なく慣れた。いや、これは想定通りだったのでなんでもない。
次に感じたのは、序盤の感想でも書いた「違和感」。プレイアブルキャラがキムタクであることに慣れてしまったせいで、これまでテレビを通して観て来たキムタクとの齟齬が気になり始めてしまった。体験版の時点でも気になっていた「口を尖らせる」モーションが薄味だとか、口を開いた時の顎の連動がちょっと甘いように思えるだとか、大きく口を開けて笑う時の表情は違和感があるとか。何より、キムタクがでかい。サイドケースでがっつり絡む早乙女兄妹は、ゲーム内でも特に身長の低い二人だが、この二人と並ぶ主人公はまるでジャイアント白田。桐生ちゃんのサイズを使いまわしている弊害だろう。一概に悪いとは言えず、サイドケースなどのバカシナリオを楽しんでいる時は、ただただ笑えるんだが。
そうした違和感も、プレイを重ねて見慣れるほど、気にならなくなってくる。
入れ替わりで、気になりだすのが、実在人物をモデルとしたキャラと、そうではないキャラが同居することで際立つ違和感。最初は、海藤さんと杉浦の唇が気になりだした。なんでそんなに艶々で血色いいの、君ら。次に、女性陣含めた左右対称の造形が気になり始める。画面に出ずっぱりのキムタクは、眉間の皺の入りが左右非対称なのが結構特徴的。また、薄目のわき役ではあるが、綾部のモデルである滝藤氏は鼻が曲がっているため、左右非対称性の際立つ容姿。通常、ほとんどの人間は左右非対称な造形であり、実在モデルのいるキャラクターは左右非対称性が「その人物らしさ」に繋がる。ところが、そのせいで、実在モデルのない左右対称な他キャラクターたちが人間に見えなくなってきた。星野くん、あまねが、また能面っぽい顔をしているので、余計に人間に見えない。これは、全キャラ実在の俳優をキャプチャーし、さらにアンドロイドという設定を被せた「デトロイト:ビカムヒューマン」では感じなかった感覚だ。更に言えば、実写キャラが登場しても、出ずっぱりのキャラは、あくまで架空の人物である「龍が如くシリーズ」では、ここまで持続した違和感ではなかった。
メインキャラが、よく見知ったキムタクであり、そのキムタクの造形は、随所に違和感を残しても、よく出来た仕上がりだ。そのために、違和感が強調されているのは、ちょっと皮肉にも感じる。実在人物を扱った数では、日本一のスタジオが制作しているわけで、こうした問題に鈍感なスタッフな訳がない。そこらへんは気にする人間の方が少なく、面白さの方が絶対に上だ、という判断なのだろう。だとすれば、その割り切りは、実に、龍が如くシリーズらしい。
そして、自分の場合、実際、最後までプレイした結果、確かに、面白さの方が上回っていったのだった。
終盤、一気に盛り上がるストーリー
キムタクがどうとか、違和感が気になっていたのは、終盤直前くらいまでだ。
正直、中盤まではストーリーに乗っていなかった。だから、上記のようなことに気が行ってしまったのかも知れない。序盤は、外周を固めるばかりで、真相へ近づく一歩がなかなか出て来ず、リーガルサスペンスと銘打ちつつも、羽村の裁判以降は、やることが龍が如くとさして変わらない印象しかなかった。しかし、主立った登場人物が出そろい、話が大きく転がり始める綾部逮捕の辺りからは一気に面白くなっていった。
最終チャプターは圧倒的不利な状況で幕開けるが、そこからの逆転展開が非常に気持ちいい。仲間との大乱闘、宿敵との一騎打ちなど、ゲームプレイにも熱が入るシチュエーションを連続して用意し、最後に、逆転が綺麗に決まる状況が完成する、納得度の高い連続コンボで見事。逆転裁判ではないので、裁判なんて人任せやで!!
お話に乗り始めると、先に書いた種々の違和感はどうでもよくなり「キムタク」という記号が表現する「八神」というキャラクターのかっこうよさが痛快なオチにしっくりと来る。思えば「キムタクは何を演じてもキムタク」と言いつつ、いいドラマに出ている時のキムタクはかっこいい。本作は、全く同じことを成し遂げており、終わったときには、次回作が出ても遊ぼうと思わされていた。心地よく余韻に浸れるスタッフロールの日常寸劇も良かった。
ゲームプレイ自体は、龍が如くを越えていない
ストーリーは非常に面白かった。ゲームプレイについては「ほぼ龍が如くと同じ」なので、概ね、同じくらいには楽しい。非ヤクザまでもがヤクザのような走り方をしてるとこまで、龍が如くと同じだ。
サイドケース(サブクエスト)も楽しい出来だ。現代風俗を適度に入れ込み、探偵らしい短編がバラエティー豊かに味わえる。
ただ、エンジンを刷新してから、リメイクを含め数作経たと考えると少々残念な点も多い。
まず、バトル要素については、可もなく不可もなく。ステップやスタイル切替の硬直に、微妙にストレスがある。一部EX技演出は無駄に長くテンポを悪くする。戦闘回数とスキルによる拡張はあっても、バトルの奥行きはほとんど拡張されない。円舞に全く拡張性がないのは制作期間の都合だろうか。あくまで探偵だからバトルはおまけ…とするには、バトルの占める比重は大きく、もう少し飽きない工夫が欲しかった。
序盤の感想での繰り返しになるが、探偵らしさを演出するミニゲームはどれも最後まで面白くない。特に尾行は、一番採用されているのに一番面白くない。
また、変装は、せっかくキムタクを遊ぶ要素なのに特定状況でしか使用できないのももったいない。メインストーリー進行時は強制的に着替えさせられてもいいので、普段から変装できるようにして欲しかった。「キムタクを遊ぶ」というチャレンジは、全体で見れば大成功なのだが、こういうところが、あと一歩惜しい。
最終的な稼ぎどころがVRすごろくというのも謎。探偵なのに。いや、探偵に関わるミニゲームはつまらないので、それが一番稼げても困るのだが。もう少し探偵らしく、お金稼ぎがしやすいミニゲームを用意できなかったのだろうか。
なお、賭け事ゲームについては、花札、ブラックジャック、ポーカー、麻雀と無駄に多いものの、そのどれもが安易にお金稼ぎさせる気がない。なんでそんなに渋いんだよ。
ドローンレースは、パーツ作成のせいでレース外での行動コストがかかる面倒な仕様になっている。レース自体は楽しいのに、パーツを用意するのがかったるすぎて途中でやめてしまった。
次回作があるなら、ミニゲームのクオリティーを上げて、より探偵らしさを楽しめる方向にいくとか、もう少し、ゲームプレイ全体の中で、ミニゲームそれぞれの位置づけを考えたバランスにするなど、工夫が欲しいと感じてしまった。鍵束を選ぶミニゲームに至っては存在が謎過ぎて、逆に企画意図が知りたくなってしまった。
個人的には、もうミニゲームはゲーセンの移植やアレンジゲームだけでいい。フレンドを集め、探偵として「街の普通の人たち」と協力関係になるのは楽しかったため、そちらをより膨らませ、サイドケースとより密接に絡ませ、ちょっとした「街」「428」的な楽しみ方が出来るなどの方向を期待したい(作るのはハチャメチャに大変そうだが、言うだけなら簡単だ)。
「龍が如くシリーズ」であれば、最早「こういうシリーズだしな」で済ませてしまえるが「龍が如く」のガワを変えただけの作品にとどまらず「ジャッジアイズ」として面白かったゆえに不満を感じてしまう。使いまわしに留まらないキャラクター・物語を提供してくれたのだから、次回作では、ゲームプレイでも「ジャッジアイズ」だからこその面白さを提供して欲しい。
次回作に期待
亜門のイベントを見る限り、既に2作目を繰り出してくるつもりがあるようだ(ちなみに最後に来て、あの亜門のツッコミにはかなり笑った)。売り上げ次第か、はたまた単なるジョークかもしれないが。
亜門が発言通り、八神の最強を「今年だけ」にするべく帰って来るのだとして、1年くらいの期間でどこまでゲームがパワーアップできるものだろうか不安はある。しかし、当分の間、年に一度はキムタクがゲームに登場するという状況は面白いし、少なくとも今作の出来は、次回作にも期待出来ると思える内容だった。
今作は、キムタクが八神になるまでの物語だったように思う。
次回作は、八神の魅力がより一層高まり、探偵らしくパワーアップした物語を待っている。
今日は以上。