「アウター・ワールド」途中感想
色々ありましたね。
スパイダーマンがMCUから締め出されたり撤回されたり。娘が躍るんちゃうか?とアイドル動画を見せてたら、見せてる俺がBishに軽めにハマったり。コウテイがM1予選でスギ薬局をしなかったり。流れで買ってしまったドラクエ11sを遊んだら2度目なのに楽しくて、バトルスピードアップと声の力は偉大だなと思ったり。書籍化した「異修羅」が滅法面白いけど少しテンポが緩くて痛し痒しだったり。飯時に相席食堂を見てたせいで、娘が「ちょっと待てぇ」と言い始めてしまったり。ちょっと待てボタンほしい。他は記憶がない。
フォールアウトみたいなやつ
最近は、先日発売された「アウター・ワールド(The Outer World)」をプレイ中。
開発は、フォールアウトニューベガスなどを担当したオブシディアン。フォールアウト1~2の遺伝子を一番引き継いでいるのはニューベガス、とはよく言われるが、それを開発した会社が送り出す、新規タイトルが「アウター・ワールド」だ。
ゲームの内容は、フォールアウトライクなものを思い浮かべてもらえば、そこまで大きく外れない。
オープニング早々、キャラメイクから始まり、一人称視点のカメラで移動。撃って殴って会話するRPG。世界観こそは、スペース・ウェスタン寄りであり、宇宙船で惑星をめぐるような展開が待っているものの、やっていることはかなりフォールアウト3に近い。ブラックなノリも強め。
細かい差分も多い
雑に「フォールアウトみたいな」と書いたが、差分も多い。
まずよく想像されるような「オープンワールドゲーム」ではない。いや、一応定義上は、オープンワールドで合ってるんだけど、決して「No Man's Sky」のように、惑星間をシームレスに移動できるようなゲームではないという意味で。景観はオープンワールド調ではあるが、惑星ごとの行動範囲は割とこじんまりしており、箱庭としても小さい方だろう。惑星間の移動、屋内外の移動で、都度ローディングがあり(長め)、シームレスにはできていない。
会話と、仲間をかなり強調したバランスに仕上がっていて、戦闘はかなりあっさりしている。
グラフィック、UIなど、フォールアウト4未満を強く感じる出来で、一世代前を強く思い出させる(だがしかしそれもなかなか悪くない)。
会話とクエストがメイン
ゲームプレイは、会話にかなりリソースを割いている。とにかく会話選択肢が豊富。どうでもよさそうなNPC相手でも、色々会話が引き出せることが多い。主人公のスキル次第で更に多くの選択肢を選ぶことができるようになる。翻訳は固めで、口調によるキャラクターの個性は余り感じられない、一部漢字が中国系、固有名詞のニュアンスがわかりにくい、などの問題もあるが、意味がわからないようなテキストはほぼない。
そして、分岐の多い会話と連動して、クエストの展開もかなり柔軟。会話スキルの熟練具合によるが、かなり無茶な状況も会話で切り抜けることが可能となっている。抹殺対象を見逃したにも拘わらず、口だけで相手を丸め込んで事を収め、両陣営から報酬を得たりすることもできる。勿論、面倒になったら武力解決も問題ない。
そもそも、選択を迷わせる状況づくりもうまい。例えば、序盤に訪れる町では、二つのコミュニティが対立している。一方は安定した共同体づくりをしているが、個を無視したブラック企業運営を行っており、住民は機械のパーツが如く扱われている。もう一方は、自然に寄り添った生活を行っており、住民は非常に安らかに見える。しかし、救える人数には制限があり、先行きも不透明。どちらのコミュニティにも一長一短があり、プレイヤーの仲間になるキャラクターが、片方の陣営に縁深いことで、さらに、選択を迷わせるバランスになっている。
社則に縛られた宇宙へようこそ
このゲームの大きな美点は、その世界観だ。
登場する惑星はほとんどの場合、企業が買い取り、運営している。あらゆる事項が企業利益に適うか?という観点でチェックされており、人権の概念がない(ほんとにない)。一定以上の労働能力が認められなければ医薬品は提供されず、食欲減退に大きな効果があるということで、原生生物が材料の歯磨き粉が注目商品になる。企業戦士(武力のあるマジの戦士)は、規定により、会社の宣伝文句を突然口にする。生まれた時からブラック企業で育った人たちは、親が過労死しても特に疑問に思わない。
一方、そういった価値観になじめず、自由に生きる人々もいる。むしろいてくれて良かったよ。しかし、大抵はうまく組織化されず、烏合の衆として大企業の圧力に怯えていたり、弱肉強食を地で行くような生活を送っている。
今のところ、ブラックジョークを塗り立てて作ったような星々しか登場しないが、陰鬱な雰囲気は余りない。どんな悪状況のコミュニティーでも呑気だったり、たくましい奴が必ずいる。あまり深く物を考えていないというか、価値観を揺さぶるような主人公のコメント(選択肢)も、一笑で蹴飛ばされるケースばかり。もうちょっと話聞いてくれませんか。今のところ、あからさまに同様したのは、歯磨き粉研究者くらいしか思い出せない。
おかげで、全体から感じるトーンに陰鬱さはなく、ブラックな世界観をただ楽しむことができる。
淡泊な戦闘と面白味の少ない育成
会話パートに注力したためか、戦闘はかなり素朴な出来だ。時間の流れをスローにして敵の部位を狙い撃ちにするVATSモードめいたものもあるが、敵の動きや仲間の行動がシンプルなので、割とテキトーに撃って倒したり倒されたりする印象。
ダメージ演出が異常に淡泊で、体力メーターを見ないと攻撃を食らったかどうかほぼわからない、任意にクリティカルを出して爽快に倒したりできない、敵の配置などにメリハリがない、スニークキル演出などがなく、そもそもスニークしづらい…などなど不満点も多い。
現状、戦闘系のスキルは最低限しかポイントを振っていない(自分は、もともと、そういう傾向が強い人間なので、どっちにしろ似たような育成をしていたと思うが)。会話偏重、かつ、淡泊なバトルが、それをより助長しているとは思う。
スキル関係もあまり面白味がない。実用的なのは結構だが、基本パラメータを伸ばすようなスキルがほとんどで、ゲームプレイを拡張するようなものがほぼない。せっかく宇宙を冒険しているのに、やれることが、撃つ・殴る・仲間に攻撃してもらう、くらいしかないのはシンプル過ぎる。せっかくある多くのパラメータも、クエストや会話の選択肢を広げる使い方がほとんどで、バトル中のプレイイングへの影響はごく軽微だ。これが、例えば工学スキルを上げていたらドローン兵器が使えるとか、科学スキルで敵のエネルギー兵器を反射できるようになるとか、面白アクションor面白パークが使えるようになったらもっと違っていた気がする。
仲間が強い
シンプル過ぎるバトル&育成に花を添えるのが、仲間の要素だ。
事前情報でも仲間が強いという触れ込みだったが、確かに強い。
戦闘を開始すると、勝手に相手をボコボコにしてくれる。もちろん、相手が多い、位置関係が悪いなどのケースで倒されてしまうこともあるが、最上難易度:スーパーノヴァでもない限り、パーマデスもないので、過保護にする必要はほとんどない。
仲間は、クエスト時の会話でも、介入して存在感を示してくれる。6人ほどのキャラが仲間になるっぽいが(仲間選択画面の空きを見るに)、連れ歩けるのは2人までなので、どのキャラを使用するか、所持スキルも相まってなかなか悩ましい。
仲間も成長することで、スキルを獲得することができる。戦闘に特化させたり、主人公のスキルを補助させたり、自分のプレイスタイルに合った役割を持たせることが出来るのは結構楽しい。もっと色々特殊な動作を取らせることが出来たら楽しかったとは思うが、本ゲームが意図的に特化しているであろう方向を思えば、許容範囲かもしれない。
仲間のキャラクターも飛ばしている。現時点で仲間になったキャラだけでもなかなか腹いっぱいだ。
主人公の乗る宇宙船のAI、エイダは、指令欲しさに、たまたま会っただけの主人公を無理やり前キャプテンとして認識してくる。欲求のために矛盾を誤魔化し、合理化するやばAI。主人公に好意的だが、実は一番危険なやつの気がする。
パールバティーは、ブラック企業に育った純朴なバイセクシャルのメカニック。初恋に暴走していくが、ちょっとやばいやつなのでは?という静かな疑惑がぬぐえない。
マックス牧師は8割何を言ってるかわからない哲学牧師。両親のように信仰に生きたいという理由で牧師になったが、信仰心を持てなかったようだ。
フェリックスは押しかけで、クルーになりたいと面接を希望してきた陽気で短気なボンクラ。だがしかし、なぜか対話説得能力が高い。ムードメーカーってこと?
エリーはソルジャー風の医療班。むしろ医者っぽいことを言うソルジャーとしか思えないほどにヘビーウェポンが似合う。
やばめなキャラの比率が高過ぎる。秩序側のキャラ皆無。それがアウターワールド。
自由なクエスト攻略、会話分岐が大好きな人向けのアドベンチャーゲーム
他、気になったことを書くと、世界観の演出などは、かなりダイアローグに依存しており、生きた環境作りはほぼなされていない。マップに用意された環境も、そこまで多いと言うほどではなく、フォールアウトなどではよく見る、オブジェクト配置によるストーリーテリングも、希薄。
とにかく、会話を楽しみ、分岐を楽しみたい人向けに特化したつくり。
バトルは淡泊。育成要素はシンプル。ひたすらにクエストの分岐と、会話テキストに注力されて制作されている。RPGというより、シューティングと育成要素のあるアドベンチャーゲームと思った方が期待から外れない。役割を演じる、ロールを遊ぶという意味ではこれ以上なくRPGらしい出来だ。
自分はそこにがっちり嵌るタイプだったので、かなり楽しんでいる。ベセスダのゲームほど広大ではないし、バイオショックほど凝ったバトルがあるわけではないが、そのどちらよりも選択肢によるクエストの変化を楽しむことが出来る。クエストの量、解決法においては、デウスエクスや、ディスオナードを凌駕していると感じる。
いかに多くの選択を行い、いろんな行動を試すか、を基準に、無軌道なプレイで宇宙を旅している。この先、どんなイカれた価値観の惑星が、キャラが飛び出すのか楽しみだ。
メインストーリーは今のところ、各サブクエストにアクセスさせるための導線という役割以上のものではないが、先々では盛り上がってくれたらいいなぁ。
今日は以上。