ヨコズキゲーム’

ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

年末年始ゲーム感想

 結婚後の年末年始といえば、嫁さんの実家を親子で訪問し、多数の親戚を前になるべく石となるのが、恒例のイベントだったのだが、今年は嫁さんの体調不良があり、娘を生贄として送り込むことでイベントキャンセルに成功。自宅で静かにゲームを遊び続け、遊び疲れたら少し仕事するという、幸福なサイクルを過ごせた。

 「デスストランディング」をクリアし、「コントロール」はトロコンし、「アストラルチェイン」も結構遊べた。PCから音が出なくなり、steamのゲームは遊べなかったが、それでも満足。

 

 

「デスストランディング」感想

 もし「デスストランディング」を去年のまとめを書く前にクリアしてしまっていたら、3本のうちに選びたくて悶絶してしまっていただろう。

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 終わりかけたアメリカ大陸を舞台に、あらゆる手段を使って荷物を届ける、最新型「お使いゲーム」。

 まず目を引くのは、かつてないレベルでフォトリアルなグラフィックが実現していること。ノーマン・リーダスマッツ・ミケルセンも、本人の芝居と息吹が感じられるレベルで作り上げられている。ゲームプレイがアクション寄りであり、操作感も良好、躍動感があるためか、デトロイト・ビカム・ヒューマンよりも「そこにいる」という感触が強い。これがごく短期間の製作で実現しているのがすごい。スタジオの設立宣言から3年強で完成までたどり着いているのが信じられない。大自然オンリーに近い環境、大半の登場人物がホログラフィックだけの登場…という、わかりやすい工夫から、門外漢にはわからない色んな工夫まで、短期間での製作を可能にした工夫は色々あるんだろう。しかし、それにしたって、ドラマを成立させる最低限の人物たちによるデモシーンは凝ってるし、マップも随所に印象的なセットが散りばめられている。恐るべしコジマプロダクション。

 製作面やら技術面に目を向けずとも、最新型お使いゲームとして非常に意欲的な作りが楽しい。ゼルダBoWは【登る】という移動を遊びにまで昇華していたが、本作の場合は【歩く】という移動の基本動作を遊びの中心に据えている。どの程度の荷物を所持するのか。どういうルートで歩くのか。予想される地形に対して備えは万全か。事前にわかる情報と、予測に頼らざるを得ない部分の配分が絶妙で、適度に厳しい。車両や各種設備がアンロックされる度、外敵も徐々に強くなり、順番に遊びがスケールアップしていくようになっているのも好感触。歩くというゲームプレイのために作り込まれた移動モーションの数々も感動的。足場の悪いところでの安全そうな場所をチョイスして歩を進めるあの動作、ゲームでは初めて見た。

 徹底して不殺でいられるデザインも印象的。「ドンパチゲームを作れ」からスタートしたメタルギアとは違い、不殺であることに全く無理がない。

 最終的にはジップラインが便利すぎる、インフラを整えている間は作業的になりすぎるなど、気になった箇所はあるが、全体の完成度や、チャレンジを思うと、些末なことに思える。トロコンまでやりこむとなるとまた違った感想になるのかも知れない。

 自分は、配送業が身近な仕事をしているので、主人公の「配送屋」という設定に、ゲームプレイ以外の部分でも色々思うところがあったのも楽しかった。IDタグで自動的に運送屋と認識される仕組み、マジであった方が良いと思う。このゲームの場合、基本的に超絶優良顧客(常に在宅、めちゃ褒めしてくれるし、送料代わりに施設や資材を提供してくれる)ばかりだが、現実でももう少しインフラ屋さんにやさしくしてあげて欲しいと思うし、そのやさしさを提供させるために、IDタグで運送屋と認識できるシステムは必須だと思う。

 物語については、科学、SF、オカルト、考古学と色んな知的要素が、独特な世界観を強固にしている。語り口の精度も含め、海外SFの空気を強く感じた。「謎の赤ちゃんをレーダー代わりに、見えない亡霊に襲われながら、シェルターからシェルターへ荷物を運ぶゲーム」という、一聴では理解できない内容が、グラフィック+強固な肉付けによって、気付けばちゃんと飲み込めるようになっている。ドラマの中心は、主人公サムの失われた絆の再生であり、そのドラマはゲームプレイと相まって、王道かつ非常に強力。親になって以降、「たとえ人類内の問題がうまくいっても、50億年後には外宇宙に行けないと人類詰むんだよなぁ…宿題難題すぎる」ってことをよく考えるのだが、こないだの「十三機兵」が経て、そのあとの「デスストランディング」ということで、余計に沁みる。人が繋がるということ、繋がりが断たれるということ、いつかは絶滅すること、それでも続けるということ。多方面に感慨深い。サムのドラマに関しては、最後らへん「ずるいよ…」と言いながらずっと咽び泣き。あんなんずるいわ。

 本格的にゲームが始まるまで長すぎること(いざ始まるとほぼゲームプレイ中心になるのだが)、種明かしがとても長く説明セリフで片づけられていることなど、構成には欠点も多い。しかし、新鮮な題材とアプローチを詰め込みつつ、ミクロ(サムのドラマ)とマクロ(人類の存続)を両立させる内容を、きっちり完結させているのは見事。

 そういえば、一つだけ後悔しているのは、NPCを殺してしまって、焼却炉に運ぶというイベントをやり損ねたこと。非殺傷兵器が普通に強すぎたのもあるが、不殺で行けるゲームは、当たり前のように不殺で進めるタイプなので、クリアし終わってから、TIPSを読んで「そうか…ミュールやテロリストも人なんだ」と気づいた。自分の行いの結果、死体を焼却炉まで運ぶ罪悪感と焦燥、その体験を通じて、お邪魔虫のようなミュールたちも人であると感じたかったなと思った。

 

 

 

「コントロール」感想

 「アランウェイク*1」「クォンタムブレイク」で知られるレメディの新作「コントロール」。

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 怪現象が起こる政府秘密機関の本部ビル。その中で、なぜか局長になった主人公は、超能力を使って謎の敵と戦う…という内容。

 お話を楽しむ向きが強かった「アランウェイク」に対して、本作は、超能力アクションを中心に楽しめるようになっている。海外ゲームによくあるリアリティー重視のモーションで、ヒロイックな格好良さはいまいちだが、超能力による破壊表現は圧倒的で、ボタン一つで壁がえぐれ、オブジェクトが吹き飛ぶ。PS4proでも処理落ちしますがだからなんでしょうか?という勢い。粉塵と書類が乱れ飛ぶ。グラフィックは、モーションブラーが強め+フィルター効果で少々見づらいものの、それでも圧巻。静謐で近未来的な空間のところどころにオブジェと化した人間が浮いているという明らかにやばい環境づくりは非常に楽しい。

 で、物語の方だが、収集物を無視して、ただゲームを進めるだけでは、なんのこっちゃだかわからない話になっている(と思う)。大抵のゲームとは全くお話の語り口が違う。本作は、なんというか…ウィキペディアの断片を大量に読むうちに、いつの間にかそこにお話しが現れるような形を採用している。よくあるゲーム同様、アクションとアクションの合間には会話シーンがあり、次の目的が提示される…のだけれど、会話の内容はかなり抑制されていて、スッと飲み込める内容がほぼない。代わりに、このゲームには収集物が大量にある。他のゲームでは考えられないレベルで大量にばらまかれている。で、それら収集物を集めて読んで・見て・聴いて、しているうち、徐々に物語の輪郭が立ち現れてくるようになっている。とは言え…トロコンするほど遊んで、駆け回りまくった今でも、鮮明にはなってくれないのだが。ホラーというよりは奇妙。薄闇の中を覗きこむような感覚。読後感はアランウェイク同様、決して全てをすっきりさせてくれるようなものではない。ただ、それだけに、日常のふとした瞬間に思い出されそうな余韻がある。

 各レベルの景観変化が乏しい、いくらなんでも演出あっさりしすぎ(特にエンディング)、敵の種類が少なすぎ、などの欠点はあったが、脳を揺さぶるような多くの怪異との出会い、それに伴う世界の歪み、それを超能力で打破し解決していくのは楽しく、トロコンまで一気に遊べてしまった。

 

 

 

「アストラルチェイン」序~中盤の感想

 発売日に買ったのに4か月以上積んでいた「アストラルチェイン」。

 プラチナゲームズなんだから面白いに決まってると思いながらも、ちょっと色々とタイミングを逸してしまっていたのだが、いざ、遊んでみたら想像以上に面白いでやんの。積んでてすまんかった。

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 簡単に言うと、コントローラー一個で、2キャラを同時操作して激しいスラッシュバトルができちゃうゲーム。これ同じ仕組みで本体とスタンドを同時に操作して連携行動させるアクション作れるぞ。

 正直、最初は独特な操作ゆえに慣れるのに時間がかかった。単に殴って避けてだけなら、おおむねいつものプラチナ製スラッシュアクションなのに、ボタンコンフィグが違うせいで馴染まなかった。しかし慣れるほどやれることが増えていく。丁度いい具合にアンロックされていく。

 最初は「ベヨネッタ」の如く、ジャスト回避→スロー状態にしてコンボが出来るようになる。レギオン(スタンドみたいなやつ)を敵に向かって飛ばすだけだったのが、レギオンとシンクアタック(協力攻撃)が出来るようになるともう「ベヨネッタ」の召喚攻撃をしている気分。さらに、レギオンを任意に移動させ、主人公と挟撃させたり、チェインでまとめて捕縛できるように。レギオンソードの切断は「メタルギアライジング」。レギオンアームによるオブジェクト投擲はまるで「マックスアナーキー」。加えて、アビリティー取得まである。このアビリティーで「メタルギアライジング」のハジキまで使える。レギオンアローでTPSモードにしてヘッドショットしまくったり、レギオンビーストでベヨネッタダッシュの如く走り回ったり。ははーん??さてはお前、プラチナ製アクション全部入りだな?!!??!!

 加えて、アクションの合間合間にあるアドベンチャーパートも想像以上に気合の乗った作り。謎解きあり、パズルありで盛りだくさん。アクションだけに集中したい人には邪魔くさいだけだろうし、そうでなくともリプレイ時には面倒な要素に成り果てそうではあるが、初周のプレイにおいては、ただただ充実したゲームプレイが楽しいので問題ない。アジアンサイバーパンクな世界観と、豊富なキャラクターたちを楽しめるのは期待していなかった嬉しい誤算。

 世界観といえば、グラフィック・美術はかなり良好。スイッチでここまで、激しいアクションと結構高密度な絵作りが両立されているのが驚き。キャラクターデザインは、第一印象は古臭いと感じたものの、キャラメイクに自由度があるのが大きな救いで、だんだんと慣れてきた。いや、フォトリアルでも、デフォルメし過ぎでもなく、かつキャッチーさを担保した絵、という意味で桂正和氏の絵は最適解だったのかも知れない…。などと、考える一方、やたら外に跳ねた髪の毛や、険しすぎる眉間はまだ気になる。先生、ヘアカタログ更新してください…。

 ギリギリで動いているのか、フレームレートが厳しい場面があったり、ビースト騎乗の制御がやけに難しい、レギオンジャンプに精度を求めないでほしい、メンテナンス要素いるか??などの欠点もあるが、いつも通り素晴らしいモーションとケレンの利いた演出で極上スラッシュアクションが楽しめるのは、控えめに言って最高の部類。もしPS4版出たら絶対にもう一度買っちゃうこれ。

 現在ステージ8。中盤くらいだろうか。ここまで、次々にシステム・レギオンが解放され、ゲームプレイがどんどん加速していったが、レギオンが全て揃ったあとも、最後まで弛まず突っ走ってくれるのか期待がかかる。徐々にバトルが激しくなり、チェイン拘束がうまく出来なくなってきたので、積極的に狙っていきたいな。

 

 

今日は以上。

*1: アクションアドベンチャーの中で「アランウェイク」は10指に入る傑作と思っている。今の技術でリメイクしてくんねぇかな