ヨコズキゲーム’

ゲームの事しか書いてない らじてんのブログ。

「仁王2」感想 ※ネタバレあり

 「仁王2」が出てからこっち、仁王2しか遊んでませんでした。

 「サブノーティカ」「OuterWild」を確保済だけど、FF7Rを遊んでからかな…。

 

 というわけで「仁王2」の感想。

 ※ネタバレ感想は最後にまとめてあります。

 

プレイ状況

 PS4proでプレイ。プレイ時間はよくわかりません(とにかく遊んだ)。

 2周目、あやかしの夢路まで全ミッションクリア。最終装備は、金吾+日輪に幸福のオプション盛り盛りのドロップ狙いセット。日輪の幸運オプションを、近接5%アップ追加に切り替えれるよう祈月装備も育成したが、使う必要を感じなかった。

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戦国死にゲーふたたび

 「仁王」は非常に充実したゲームだった。よく死ねる難易度の高さ。一方、敵の配置や攻撃パターンを覚えることで、上達の実感を得られる調整具合。また、お手本となったダークソウルにはない楽しみとして、史実を下敷きに仁王流にアレンジされた物語には非常に楽しませてもらった。2周目以降はハクスラ要素が楽しめるバランスへと様変わり。ほとんど別ゲームとして長く遊べる構造に変化する。DLCは本編の続編となっており、ステージ・ボスともに充実した内容で遊び甲斐も破格。武器種もどんどん追加される贅沢っぷり。他ゲームのDLCは見習ってほしい。

 ダークソウルというお手本があるとは言え、一作目にして、亜流以上の面白さがある仕上がりだった。

 そんな仁王の続編はどうだったか。

 先に結論を書くと、内容はver1.5でありながら、面白さは間違いなく2として進化していた。最高の戦国アクションが楽しめた。

 

 

秀吉として暗闘する物語

 前作では、ウィリアム・アダムスこと三浦按針として、戦国末期の歴史の裏を駆け抜ける内容。戦国末期、関ヶ原の戦いへと繋がっていく戦の裏には、霊石による超常の力が関わっており、ウィリアムは徐々に大きな戦へ巻き込まれていく。妖怪変化が登場するなど、ファンタジー要素は大きいが、史実の美味しいところを絡めた展開が随所に見られ、「流石コーエー」と感じることが出来る内容だった。

 仁王2では、前作より前の時代。秀吉がまだ農民である時代から始まる。人間と妖怪の間に生まれた半妖である主人公(通称秀の字)は、霊石の力を操ることが出来る旅商人の藤吉郎と出会ったことをきっかけに、二人で一人の「秀吉」として、立身出世への戦いを繰り広げていくことになる。

 実際の歴史上では大きな役割を果たすことがなかったウィリアムとは違い、今回の主役は片割れの裏方であっても"あの秀吉"である。しかも、ゲーム内で年代進行は全く描かれないものの、史実に照らせば40年くらいのロングスパンを描いているため、色々駆け足気味の内容。柴田勝家とは最初から仲が悪いので羽柴姓になったりしないし、ねねもいない。毛利は全く出てこないし、松永弾正は気付いたら自爆してる(千葉繁の声で爆死するシーンは是非ステージとしてやりたかった)。

 しかし、要所要所で史実と絡めた展開が楽しいのは相変わらず。前作ではすでに没後だった信長による敦盛が見られたり、本能寺の変が劇中で体験できるのは、まるでゲーム内のキャラとしてタイムスリップしたような妙な感覚がある。築城が得意だった秀吉のエピソードを、鎌鼬や河童による大量の資材調達による築城へと繋げているところや、小牧・長久手の戦中に起こった大地震を、大量の霊石による巨大ボス出現に繋げているところなどは、ニヤリとさせられた。

 

 

妖怪大増量で最高

 妖怪という要素が大きくフューチャーされ、前作に比べるとドンと妖怪の種類が増えた。妖怪好きとして、こんなに嬉しいことはない。雑魚、ボスともに妖怪の数が多く、伝統的な妖怪のデザインに、仁王の解像度に合わせたアレンジを加えたデザインはどれも素晴らしい。戦国時代という舞台の都合、不足しがちな男性向けエロティック要素は前作同様おおむね敵にぶち込まれている。なかでも、火車、やばくないですか?

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 DLCでも更に敵が追加されるはずなので、今からどんなデザインが出てくるのか、ワクワクする。

 

 

変わらず鋭いアクション

 前作という資産を大いに活かした内容なので、基本的なアクションは前作と変わっていない。武器種や構えにもよるが、平均的にキビキビとしたアクションが可能で、ニンジャガイデンの血統を強く感じさせる。コントローラーのボタンをフルに使う上、武器や構えごとに感触が違うので、慣れるまで時間はかかるが、慣れるほど、爽快なバトルが可能。

 前作時点でも相当多かった武器種類は更に追加され9種類。1作目発売当時は5種だったことを思うとめちゃくちゃに増えた。このゲームの武器は1種ごとに構えが3種あり、更に、構えごとに「武技」が数種ある。武器一個あたりのモーション数がアホみたいに多いのだ。なのに9種。マジでチーニンはイカレていると思います(褒)。どの武器も強みを生かせるようになるにはそれなりに苦労が伴うが、ほとんどの武器にそれ特有の楽しさがあるようになっている。個人的には、なんだかんだで対応力がえげつない薙刀鎌。次点で、異常な速度で殴りまくれる旋棍も好き。仕込み旋棍楽しいです。

 更に、今作より追加された妖怪技がアクションをより豊かにしている。攻撃など各種アクションは気力ゲージが切れていると行えないが、妖怪技は妖力ゲージという別のゲージを使用するため、気力切れでも攻撃が行える。これにより、前作では出来なかった連続攻撃、緊急時の回避が容易となり、より攻撃的に、しかし、より死ににくいプレイが出来る。特に、妖怪特技によるカウンターは、敵との攻防に緩急をつけつつ、一発逆転のゲームプレイを実現できる仕様で、これが追加された前作を是非とも遊んでみたいレベル。

 全体的に難易度は下がっている。攻略が困難な場面もあるが、遠距離武器で釣り出す、カウンタータイミングを覚える、術を駆使する、レベルを上げるなど、打開する方法は無数に用意されている。

 

 

ハクスラゲームとして

 前作は2周目から大きくゲームプレイの変わるゲームだった。ステージ進行にともない、どんどん強い装備が登場するから場当たりに装備を付け替えた方が良い1周目と違い、2周目からは装備自体のレベルはほぼ頭打ちとなるため、装備についた特殊効果などを厳選したり、装備を鍛えて強化することが重要なハクスラゲームに変化するのだ。仁王2でもこの要素は健在。いやむしろパワーアップしている。

 大きな変更は2点で、「焼き直し」が選択制になったことと、オプション効果を増やせる「特殊継承」が増えたこと。

 焼き直しの変更により、かなり短時間で理想に近い装備が作れるようになり、目的意識を持って装備厳選をしやすくなった。また、特殊継承の存在により、セット装備以外の選択肢が採用しやすくなっている。不要な揃え効果のために装備欄やオプション効果欄を潰すくらいなら、特殊継承でオプション効果を増やした方が良い。2つの仕様変更がビルドの自由度を大きく上げている。

 また、妖怪から取得できる「魂代」が新たな装備品として増え、こちらも地味ながらビルドをより尖らせたり、足りない要素を補う枠として機能している。

 製法書のドロップも前作と比べると圧倒的に落ちやすい。魅力的なものほど落ちないのでマラソンは必須だが、目当てのものが落ちる過程でたくさんの製法書が入手出来るのでモチベーションも高く保ちやすい。そもそも装備種類がめっちゃ多くてすごい。

 運要素が大きく減ったおかげで、思い描いたビルド実現への道のりが見えるようなった。戦闘もより遊びやすくなった。おかげで、どんどんステージを周回し装備厳選して強化したくなる、してしまう。気付くと、前作での最終レベルを超えていた。まだDLCも出てないのに。出たらどうなってしまうんだ。

 

 

飾りだけの妖怪化と主人公

 マイナス要素もそれなりにある。

 例えばステージ構成。前作でも、無闇に複雑な地形がある・ショートカット開通に感動がない、などの痘痕があったが、それは今作でも同じだ。ややこしい地形が多いため、ショートカットが開通しても、ショートカット出来るようになった気がしない。そもそもが回り道をさせるためだけに構築されていると感じた場面も多い。ステージクリアタイプであることを活かした景観バラエティーは担保されているものの、複雑さと冗長さにおいては、似たようなステージが多いと感じてしまった。どのマップも要素が多いせいで、焦点がボケており、コンセプチュアルなステージが少なかった印象。アクションの舞台としてはよく出来ているが、他がよく出来ているだけに、マップデザインによるストーリーテリングが希薄なのは少し物足りない。

 また、妖怪化・守護霊の存在価値が薄くなっているのも気になる。妖怪化(前作の九十九)による攻撃は弱く、ゲージが溜まりにくいので乱発はできず、すぐに終了してしまう。変身時のみ得られるバフが魅力的なので、ボス戦終盤は発動させるようにしていたが、逆に言えばそこしか使い道がない。守護霊もマイルド調整過ぎて、最初の鳥or糸繰だけでクリアしてしまった。強さを実感できないせいで、妖怪化ビルドを作る気にすらなれず、せっかくかっこいい要素である守護霊、妖怪化の影が薄いのは残念。ボスのトドメシーンはかっこいいのに…。

 また、今作のキャラクリは非常によく出来ている。しかし、キャラクリと引き換えに主人公から発言権が剥奪された結果、物語を楽しむという意味では、かなり足枷となっている。ウィリアムもよく喋るキャラではなかったが、一貫した行動目的があり、意志のあるキャラだった。それに比べて、今作の主人公は何を考えているかわからず、随所で描かれる周辺人物とのドラマに感情移入がしにくくなっている。せっかく、盛り上がりそうなドラマを描いているのに勿体ないという気持ちになってしまった。好きなキャラ作って温泉に入れるのは最高だけどな。めちゃくちゃ最高だけどな。

 

 

完成度の高い逸品

 前作から多くの要素を引き継いでいるため、変わり映えしないところもあるものの、細かな調整により、より遊びやすくなり、難易度も理不尽な部分は減りつつ、楽しいところはしっかり楽しめるものに仕上がっている。

 史実の裏舞台を描く物語は、個々の描写は淡泊に感じるものの、全体のボリュームは十分で、最終的には風通しの良い結末を迎えてくれる。

 何より、ゲームに慣れた末に2周目から本格的に始まるハクスラ要素が面白くてしょうがない。イカレた飛び道具を乱発する石田三成も、やばいほど閉所で戦わされる刑部もいない。快適になり、より多くの選択肢が取れるようになった戦場で縦横無尽に強敵と戦い、育成することが出来る。

 激しいアクションがしたい。ハクスラがしたい。そういう希望にピッタリ来る、完成度の高いゲームになったと思う。

 

 

 

 

物語に関するネタバレ感想

 ここからネタバレ。

 

 とりあえず、ラスボスに大嶽丸を持ってきてるってだけで満点。悪路王とか大嶽丸って、大妖怪とされるもののゲームでは見ない(見たことない)。見た目がよう解らんから採用し辛いんだろうか。大嶽丸が出てきた段階で妖怪好きとしては満点ですよ。しかも、果心居士として出てくるのもテンション上がる。何そのベストマッチング。

 終盤で、前作と話が繋がったのもかなりビックリした。マリアの件はどうなってるんだ?と思ってたけど、今作冒頭のスタート年代から考えると出てこないんだろうな、と思ったら。アクロバティックだけど感心してしまった。ちょっと雑に片づけられてしまった感じもしたけど、まぁ、白人金髪女ってだけしか特徴のないキャラだったからあんなもんだろう。国に帰った後は、デッドオアアライブでエレナとして頑張って欲しい。

 秀吉の信長死後の行動は、大体人気がないわけだが、それを大嶽丸に魅入られたせいにすることで、辞世の句の意味がガラッと変わってくるのは、見事な演出だったと思う。一方、終盤展開のドラマティックさに対して、主人公がお人形状態であり、なぜか色々飲み込んで封印装置になってしまうのはむず痒かった。ダイジェスト気味に走らざるを得ないこととは、ある意味バランスが取れているが。

 

 続編(DLC)への引きが盛りだくさんだったなぁ。酒呑の封印が解けた際、逃げたのは茨木童子玉藻前か…。あの玉藻前が茶々にとり憑いて九尾化したって流れだったのか?いやいや、大嶽丸の魂代を吸収した際の声を考えると鈴鹿御前という線もある。田村麻呂繋がりで、悪路王もある。いつの間にかウィリアムと武井咲との間に子供が出来ていたが、あちらがDLCへの振りという線もあるな?などと想像が広がってしまう。

 年代的には、おそらく大坂夏の陣以降になるが、夏の陣以降の大きな事件というと、島原の乱か、由井正雪かなぁ…。一体どういう事件や妖怪がフィーチャーされるのか楽しみだ。

 

 

 

今日は以上。