「サブノーティカ」「OuterWilds」感想
深海に潜ったり、宇宙をさまよったりしていました。
今日はその感想。
「サブノーティカ」感想
PS4proでプレイ。プレイ時間、25時間くらい。
宇宙船の事故により、水に包まれた惑星に不時着してしまう主人公。惑星脱出の手段を求め、深海を冒険するゲーム「サブノーティカ」。
すこし前にリリースされた「深世海」と要素は似ているが、あちらはメトロイドヴァニアタイプのアクション、こちらは、主観視点のADV。PC版はVR対応かつ美麗だが、PS4版はうまく最適化が出来なかったのか、マップ欠けやフレームレート低下がちょくちょく発生し、没入感を邪魔しているものの、それでも面白かった。
基本は、素材を集め、脱出に役立つ便利グッズや、拠点を作成していくことになる。孤独に、惑星脱出のため奮戦するゲームプレイは、火星の人(オデッセイ)の深海版という趣がある。あちらと違ってジャガイモや化学式と格闘せず、謎技術ファブリケーターでバンバン開発していけてズルだが、かと言って、未知の生物がうようよする海は全く楽ではない。
本作には敵対するような生物も登場するが、積極的な攻撃はほとんどできない。海草を切るくらいにしか使えないナイフと、要求素材が異常にきつい魚雷しか武器がないからだ。はっきり言ってまともに戦うことは出来ない。見つからないよう回避するように探索する必要がある。くわえて、移動には酸素や電力が必要になり、それらのリソース管理もかなり重要。これらの要素が探索に適度な緊張感を生み、戦って勝つ「征服の快感」ではない、過酷な環境で生き延びる「サバイバル感」に貢献している。逃走ばかりではストレスが溜まりそうなものだが、安全圏に作った基地は癒しとなり、平和な海棲生物とのコミュニケーションは、強敵を打破するのとはまた別の快感を与えてくれるので全く問題がない。好奇心をくすぐる生物のデザインや、環境デザインも秀逸で、十分に探索の動機になる。
未知の領域へ進むと、水の色が変わり、見知らぬ生き物が視界に入ってくる。浅い層はカラフルで美しいが、深い領域は太陽の光も届かず、どのくらい広く深いのか見当もつかないエリアへ進む時のは勇気がいる。深海で未知の生き物に襲われる場面はほぼホラーゲームだ。
探索の中、宇宙船の残骸から設計図をスキャン、徐々に色んな物が作れるようになっていく。スキャンオブジェクトを発見出来るペースと、クラフトの増え方も絶妙で、あっちは何があるんだろう?こっちはどうだ?と海底をうろうろしてるうちに遊び終われた。新たな移動装置をクラフトした際に広がる行動範囲もダイナミックで、後半にいくほど加速していくペース配分も好印象だ。
ストーリー的な流れもそれなりにあり、宇宙船事故の原因や、生き残りの探索を通じて、徐々に惑星に存在した先史文明の謎を追っていくことになる。多くの海外ゲームで採用されている、残されたデータを取得していくことで、徐々に色んなことが判明していくスタイルを採用しているが、落ちている場所がわかりやすく、数もめちゃくちゃに多いわけではないため、集めるのも苦痛ではない。要所では派手目のスクリプトイベントもある。全体で3か所4か所くらいの抑えたトーンだが、それでも体験として、とても楽しいものに仕上げている。特に、先史文明の施設で「なんだこれ?」と気軽に触った装置に表示された結果を見た時は、かなり驚かされたし、バイオショックでエリザベスの能力に息を飲んだ時に近い、その世界で愕然とする感覚が味わえた。
惑星脱出直前、これから探索するであろう他プレイヤーにエールを送るときは、これまでの探索を振り返り、メロンの種をたくさん入れた。ここを読んだ人には、海底火山の近所に基地を立てて、水ろ過装置を置くと二度と水分補給に悩まされることがなくなると伝えたい。作れるようになるの後半だけど、水ろ過装置のもたらす心の余裕は、とても染みた。
一部、目当てのスキャンオブジェクトが見つからず、プレイ進行が停滞した場面もあったが(ムーンプール)、全体的にはかなり遊びやすかった。続編も非常に好評なようで、移植されたときは是非遊んでみたい。VR対応してないんだから、次はもう少し最適化されてると嬉しいな。
「OuterWilds」感想
「サブノーティカ」は深海だったが、「OuterWilds」は宇宙を舞台に探索を行う冒険ADV。
PS4proでプレイ。プレイ時間は15時間くらいか?わからん。
先史文明の謎を追うために宇宙船に乗り込み、先輩冒険者たちの後を追って冒険に出かけようとするが…という導入なのだが、正直、導入数分は牧歌的なゲーム内容を想像していた。いや、全くどういうゲームか調べず「森の中で楽器を弾く宇宙服」というビジュアルの良さだけで買ったから中身を知らなかっただけじゃない。本当にのんびりしたやさしい空気で始まる。
しかし、舞台となる銀河は、強烈な環境であり、しかも20分間後、超新星爆発により滅びる。そして、気付けば22分前に戻っている。
そう、このゲームはループ物だ。
一人称で遊ぶ宇宙ムジュラの仮面だ。
22分後に爆発してしまう太陽。なぜ太陽は爆発するのか?なぜ主人公はループしてしまうようになったのか。銀河に浮かぶ各惑星に旅立った先輩冒険者たちの目にした物とは?そうした数々の謎を、22分の大冒険を繰り返すことで、少しずつ解き明かしていくゲームとなっている。
宇宙は過酷だ。22分持たずに死にまくる。酸素がなくなれば死ぬ。加速しすぎた状態で何かにぶち当たれば死ぬ。砂に埋もれて死ぬ。太陽の重力圏から逃げられずに死ぬ。宇宙船が爆発して死ぬ。間違えてワープした先から帰れず死ぬ。何をしていても超新星で死ぬ。全然牧歌的じゃない!旅立つ前ののんびりした風景にいれば、穏やかで心地よいBGMと共に、超新星を迎えることが出来る。それでも、どうしてもロケットで旅立ってしまうのだ。ばらの花ではなくゲームが進まないので。
トレイラー動画を見ればわかるように、各惑星のビジュアル・ギミックは非常にダイナミック。水の惑星では、複数の竜巻が島を巻き上げており、竜巻圏内に入った島は成層圏まで吹っ飛ばされる(その後重力に従って落ちる)。砂の双子連星では、片方の砂がもう一方の惑星に砂時計の如く引き寄せられている。惑星中心部にブラックホールを抱えた惑星は、ブラックホールに耐え切れなくなった惑星が徐々に中心部に落ち込み続けている。これらダイナミックな環境をシームレスに移動可能で、しかも20分のタイムスケジュールに合わせて、各惑星の状況は刻一刻と変化していく。惑星の種類は然程多くないが、どれもが個性を放っており、これら惑星での冒険はまるでアトラクション。自分は「これだけでもプレイする価値がある」と思えたほどだ。
本ゲームを制作したMobius Digitalは、俳優として有名なマシ・オカ氏が作ったスタジオ。マシ・オカ氏はIQ180以上ということで有名だが、あ、マジで賢いんだ…*1と思わせる科学的な要素が、ゲーム内の世界に程よく、時にぶっ飛んだ形で配置されているのも刺激的。SF作品として楽しめるだけの厚みを纏っている。
難点は、全体に操作が難しいということ。宇宙船の操作・キャラのブースター操作は、共に慣れるのに時間がかかるが、加えて重力が絡んで難しいことになっている。いや、慣性や重力の影響に納得感はある。あるんだが、ゲームとして操作しにくい+制限時間(超新星)まである中では「体験としての納得感」を「ゲームとしての遊びにくさ」が凌駕してしまう瞬間が時折発生してしまう。特に、砂の惑星深部に潜っていくところや、闇のイバラでアンコウにバレないよう移動する場面はきつかった。
また、1ループは22分間となっているが、時間の進行を操作する要素がないため、特定のタイミングにしかアクセス出来ないエリアに挑戦する場合、ただ待つしかない。探索を始めるために、ループの度、5分も何もせず突っ立ってる俺の気持ち。
あと、そもそも各惑星に散らばったヒントがあと半歩遠いのも気になった。特に、イバラにある船のヒントはもう少し親切でも良かったんじゃねえかな?!あそこでアンコウという生き物のことめちゃくちゃ嫌いになったよ!!
そうした明白な欠点があってすら、体験としては破格で関係ないと思わせてくれる。
辿り着くラストは難解過ぎるというか、正直ようわからんのだが、強烈にエモい。
プレイし終わってからも、宇宙空間を旅する夢を見たり、ラストの一幕を自ら繰り返す夢を見るくらい、ゲーム中の体験が焼き付けられた。まぁ、ほぼ悪夢でしたけど。
「サブノーティカ」「OuterWilds」
どちらもいいゲーム、いい体験だった。未知なる世界に飛び込んでみたいと思う人は是日遊んでみて欲しい。
今日は以上。